強い引きと激しいファイトで釣り人を魅了する人気ターゲットの「シマアジ」大型のものだと1m超え、重量感があるのでトルクフルな釣りを楽しめます。
また、高級魚としても知られており天然のシマアジは高額で取引されています。アジ類の中でも上質な脂と旨みが強く、アジの王様として呼び声高い魚です。
そんな釣ってよし食べてもよしのシマアジは、日本のほとんどの沿岸で釣ることができます!この記事ではシマアジの釣り方や食べ方をご紹介します。
シマアジってどんな魚?生態や特徴
分類:スズキ目アジ科
シマアジはスズキ目アジ科シマアジ属に分類されます。おおきさは、よくスーパーなどで見かけるマアジとは違い1mほどまで成長します。最大で全長1m22㎝・体重18.1㎏の記録があるように、アジ類のなかでは大型の魚です。
見た目は、長い楕円形をしていて体高が高く、背中の色は青緑色でエラから尻尾にかけて黄色の縞模様が走っており、腹は銀白色をしています。一見ブリやカンパチに似ていますが、他のアジのように胸ビレのつけ根の上に黒色の斑紋とゼイゴ(稜鱗)があり見分けるポイントになります。
群れで海中を遊泳する回遊魚で、主に小魚や甲殻類などを捕食する肉食です。この他にも海底の砂を掘り、砂の中にいるイソメなども食べます。
「アジの王様」として呼び声高い
シマアジはアジ類の中でも最高級の食材とされています。淡いピンク色の上質な肉質と脂がのった白身はコクと旨味をもち、市場では高額で取引されています。市場に流通しているほとんどが養殖ですが、価格が落ちないのはまさに「アジの王様」といえるでしょう。
ちなみに市場では、大型のシマアジよりも2~3kgの中型の方が高値で取引されます。なぜなら、大型になるほど脂がのりすぎてしまい大味になるからです。しかし、それだけ脂のりがいいのがシマアジの特徴ともいえます。
旬の時期は夏から秋の産卵期前で、その頃のシマアジは産卵を控え栄養を十分に蓄え脂がのっているからです。
釣り人の間では「オオカミ」と呼ばれている
関東地方では大型のシマアジのことを「オオカミ」と呼んでいます。明確な基準は、6kg以上や10kg以上、体長80cm以上など地域によって異なりますが、大型であればあるほどオオカミと呼ぶに相応しいでしょう。
オオカミクラスになると強烈な引きと重量感で釣り人を楽しませてくれます。しかし、大型になってもアジ類なので口が弱く別名「ガラスの唇」ともいわれるほど口切れしやすくバラしやすい魚です。そんなやりとりの難しさもシマアジの魅力ともいえるでしょう。
シマアジの生息地は?日本では釣れる?
シマアジは暖海性魚類といって、海水温が暖かい場所に広く生息しています。西大西洋からインド洋、地中海、西太平洋などの熱帯域を除く世界の暖海に広く分布していて、日本では以下に分布しています。
- 日本海側:新潟県より南
- 太平洋側:岩手県より南
シマアジは沿岸から沖合の水深200mほどまでの比較的浅いエリアに生息しています。また、水温は18~24℃を好むとされ快適な水温や環境を求めて回遊します。
シマアジを釣る場合は船や陸どちらでも釣ることが可能です。ただし、陸釣りの場合シマアジは回遊魚なので潮通しの良い磯か堤防から狙うのが定石です。
シマアジ釣りで有名な場所は伊豆諸島の銭洲で、オオカミクラスのシマアジを狙える1級ポイントです。また、関東では南房総が大型のシマアジを狙えるポイントとなっています。シマアジは通年を通して釣ることはできますがベストシーズンは脂のりもいい夏から秋でしょう。
シマアジ釣りの方法や仕掛け方法
シマアジ釣りは船や陸ともにコマセ釣りです。コマセ釣りとはコマセカゴにオキアミを詰め、ハリにもオキアミを付けます。コマセカゴの餌を海中に撒き魚を寄せ、その撒いたコマセに餌の付いたハリを同調させて釣る方法です。
【船から釣る場合】
- ロッド:7:3調子のゲームロッド(ビシアジ用など)
- リール:中型電動リール
- ライン:PE4~5号
- 仕掛け:プラビシもしくはステンカン80~100号、クッションゴム、ハリス6~8号、シマアジ針16号
船で狙うシマアジの釣り方は、ビシアジ釣りと似ています。基本的にタナはベタ底を狙うので以下のように釣りましょう。
- ビシを底に着底させる。
- すばやく糸フケをとり、底から30cm〜2mまで糸を巻きます。
- 竿をシャクってビシのなかのオキアミを出す。
- そのタナでじっとアタリを待つ。
※アタらなければ4〜5を繰り返す。
シマアジのアタリは小さく竿先に「コンコン」と出ます。アタリがあったらそのまま待つか、ゆっくり竿を上げると一気にラインが引きずりだされます。この強い引きがあればシマアジの可能性は高いです。
シマアジは口切れしやすいのでリールのドラグは緩めに設定し、ゴリゴリ巻かずにゆっくりと巻きましょう。
【陸から釣る場合】
- ロッド:ショアジギングロッドもしくは磯竿
- リール:中型スピニングリール
- ライン:PE2~3号
- 仕掛け:大型発砲ウキ、遠投用テンビンカゴ、ハリス3~4号、チヌバリ針3~5号
シマアジを陸から釣る場合は以下のように釣りましょう。
- 仕掛けを遠投し投入する
- コマセを振りあたりを待つ
※アタリが無ければ1~2を繰り返す。
ウキが完全に沈んだらゆっくりとアワセます。シマアジは走るのでドラグは緩めに設定しましょう。走らせてシマアジが疲れてから巻き、取り込みは必ず網を使います。
シマアジの味や調理法
シマアジは市場で高値で取引されているように味は最上級です。綺麗で透明感のある白身で、熱を通してもあまり縮みません。特に旬の時期のシマアジは包丁が切れなくなるほど脂のりが良く、刺身はもちろん煮ても焼いてもおいしい魚です。
大型のものより小型から中型くらいの方が適度な脂のりで美味とされています。名前にアジとついていますが、マアジとはまるで別物です。どちらかというとブリのような濃厚なコクと旨味があります。ここではシマアジの調理法を3つご紹介します。
1.刺身
シマアジを味わうにはお刺身がおすすめです。釣りたてのシマアジの刺身はコリコリとした食感を楽しめ、これを味わえるのは釣り人の特権です。また2~3日熟成させると旨味が増すのでまた違った楽しみ方ができます。
【材料】
シマアジ
【作り方】
- 鱗と内臓、エラをとり、頭を落とします。
- 3枚におろして食べやすい大きさに切ったら完成です。
シマアジをおろす際は以下に注意しましょう。
- 鱗が細かく取りにくいので、包丁でこそげ落とすか、金たわしがおすすめです。
- 皮が薄く取りにくいので、難しければ手でむくと簡単です。
熟成させる場合は必ず下処理をしましょう。下処理は、エラと内臓をとってから冷蔵庫で保管します。ここでポイントとなるのが鱗は残し、キッチンペーパーでグルグル巻きはやめましょう。その理由は水分を取りすぎてしまうからです。
なので、エラと内臓をとった後はキッチンペーパーは使わずにそのままラップで巻いて冷蔵庫に保管し、食べる前に鱗を取り除きさばきましょう。そうすると身がパサパサにならずおいしくいただけます。
2.シマアジの塩焼き
焼くだけとシンプルですが、シマアジのおいしさを堪能できるレシピです。
【材料】
- シマアジ
- 塩適量
【作り方】
- 鱗と内臓、エラを取り除きます。
※大きすぎてグリルに入らなければ頭は落としましょう。
- 両面にしっかりと塩をふり、尾が切れてしまうのを防ぐため水で濡らし塩をたっぷり付けます。
※塩もいつもよりちょっといい塩を使うとさらにおいしくなります。
- グリルで焼きます。
※この時火が近いと焦げてしまうので、しばらく焼いた後にアルミホイルをかけると焦げもなくふっくらと焼きあがります。
- 10分ほど焼いたら完成です。
シンプルなレシピですが焼くことで刺身とは違ったふっくらとした身を堪能できます。生食が苦手な方でも食べられるのでおすすめです。
3.シマアジのアラ汁
さばいて残ったアラも捨てずに有効活用しましょう。脂ののったシマアジのアラで作るアラ汁は絶品です。今回は霜降りなど面倒な下処理はなく簡単にできるアラ汁のレシピをご紹介します。
【材料】
シマアジのアラ
長ネギ1/2本
ショウガ1片分
味噌適量
【作り方】
- 長ネギは2cm位にカットしショウガはすりおろします。
- アラをボウルに張った水でよく洗います。
- 鍋にたっぷりの水とアラ、カットした長ネギを入れます。
- 火をかけて沸騰させます。
- 沸騰させたまま20~30分アラを煮ます。
- 途中、灰汁を取り、水が減ったらその分足します。
- 20~30分後、ショウガ、味噌で味を整えて完成です。
シマアジのアラは脂がのっているので濃厚な味のアラ汁が作れます。是非アラは捨てずにアラ汁を作ってみて下さい!
まとめ
シマアジは釣っても食べても楽しめる魚です。ブリのように強烈な引きの一方、「ガラスの唇」と言われるほど口が柔らかくバラしやすいです。その分釣れた時の喜びは大きいでしょう。機会があれば、1級ポイントの銭洲で「オオカミ」と呼べるサイズを狙ってみてください。
また、味も最高級で上質な脂と旨味はマアジとは比べ物にならないほどの絶品です。市場に出ているシマアジの大半が養殖ですが、日本各地の沿岸にいる魚なので是非釣りあげて食べてみてください。食べれば「アジの王様」と呼び声高いのも納得できると思います。
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