北海道に春を告げる魚「ニシン」。ニシンは主に北海道で漁獲される魚で、その鮮やかな銀色の体と、脂のりのよさが特徴です。
ニシンは、海水の浅いところに群れを作り、大量に産卵することで知られています。産卵シーズンになると海面が真っ白に染まることでも有名です。また、日本だけでなく、北欧やロシアなどでも重要な食材として親しまれています。
そんなニシンの釣り方や生態、調理法などについて、今回は詳しくご紹介します。
ニシンってどんな魚?生態や特徴
分類:ニシン目ニシン科
ニシンは海水温の低い場所を回遊する青物です。体長は一般的に20cm~30cm程度で、大きいものだと40cmになります。
体形は細長く側扁(そくへん)していており、一見イワシに似ています。体色は背側は青黒色で腹側は銀白色です。体全体を細かく薄い透明の鱗で覆われています。
ニシンは別名「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれております。その理由は、春に産卵するために沿岸に現れるためです。
また、この産卵期の冬から春にかけてニシンが栄養を蓄えていて美味しい旬の時期になっています。
ニシンは日本以外ではヨーロッパ諸国でも国民食となっています。特にノルウェーでは第二次世界大戦から戦後にかけて、ほぼ毎日ニシンを食べていたといわれるほどです。なぜなら、ニシンは大規模な群れを成すので漁がしやすく加工もしやすいので重宝されているからです。
お正月の定番料理も実はニシンなんです!
お正月のおせち料理の定番「数の子」は、実はニシンの魚卵のことだってご存じでしたか?
ではなぜ数の子と呼ばれているのかというと、ニシンの見た目が関係しているからです。
ニシンは見た目がイワシに似ており、また頭が角ばっているので「カドイワシ」と呼ばれていました。その「カドイワシ」の子どもなので「カドの子」そこから「カズノコ」になったといわれております。また、卵の数が多いので「数の子」になったともいわれています。
海の色が変わる!?ニシンの群来とは
ニシンの群来(くき)とは産卵期のニシンが大群で沿岸に押し寄せることです。北海道では2~3月に群来が確認され豊漁の知らせとなります。
この群来が起こると海にはある変化が生じます。それは、海が乳白色に染まってしまうのです。なぜ海の色が変わるのかというと、産卵のため膨大な数のニシンのオスが精液を放出しているからです。
この群来は明治や大正の時代には、北海道のいたるところで見ることができていましたが、昭和になり乱獲などの原因により見ることが難しくなっています。一時期は45年間もこの現象が確認できませんでしたが、近年、漁獲制限や稚魚放流の活動により再び見ることができるようになったそうです。
ニシンの生息地は?日本では釣れる?
ニシンの生息地は太平洋からベーリング海峡を経て北極海に及び、白海やバレンツ海南西部まで生息しています。
アメリカ側ではアラスカ湾からカリフォルニア半島のバサート岬、アジア側ではベーリング海からオホーツク海、日本海、黄海北部の渤海湾に分布しています。日本の太平洋側では犬吠埼付近が南限とされています。
ニシンは北半球の広い範囲に分布しており、多くの地域で漁獲されています。冷たい海水を好むことから日本では北海道でニシンを釣ることができます。そのなかでも、小樽港、石狩湾新港、苫小牧東港、留萌港の4つはニシンが釣れる場所として有名です。
釣れる時期は、冬から春にかけてで、この時期はニシンが産卵のため接岸するため岸からニシンを釣ることができます。
ニシン釣りの方法や仕掛け方法
ニシンを釣るにはまずニシンの特性を知る必要があります。ニシンは春告魚と呼ばれているように沿岸付近に来るのは冬~春にかけてです。したがって港など沿岸から釣りができるのはこの時期だけになります。
また、ニシンは群れで移動している魚です。もしニシンの群れがいなければその日は1匹も釣れないこともあるということを知っておきましょう。
ニシンの釣り方はサビキ釣りが定番です。ニシンは群れを成しているので複数釣れることもあり、初心者や子供でも数釣りを楽しむことができます。
タックルはスピニングリールを使用したタックルが初心者でも扱いやすいのでおすすめです。リールのラインにサビキ仕掛けを付け、コマセカゴにコマセを入れれば準備完了です。
釣り方は、仕掛けを海に投入しロッドを上下にゆっくり動かして魚を誘います。魚がいる水深を探るため底の方や表層付近まで様々な水深でロッドを上下にしてアタリをまちましょう。
アタリは「プルプル」と竿先に反応があります。アタリがあったらゆっくりとリールを巻きましょう。ニシンの口は切れやすく、急いで巻くと魚を逃がしてしまう原因になります。
ニシンのサビキ釣りは、難しいテクニックを必要としないためファミリーフィッシングにもおすすめです。
ニシンの味や調理法
ニシンの味はイワシやサンマに近く、旬のニシンはこってりとした脂にとろけるような食感を味わえます。その一方で、鮮度が悪いと青物特有の匂いを感じる場合もあるので、新鮮なものはお刺身で、そうでなければ火を通す料理がおすすめです。
ニシンは魚の中でも栄養価が高く、DHA・EPAが多く含まれているので生活習慣病予防としてもおすすめの魚です。ここでは、ニシンのおすすめ調理法を3つご紹介します。春を告げる魚を食して季節を感じてみてはいかがでしょうか。
ニシンのお刺身
本州の方にはあまり馴染みが薄いかもしれませんが、ニシンはお刺身で食べると美味しいんです!是非、新鮮なニシンが手に入ったら試していただきたい調理法の一つです。
- ニシンの鱗を取り除きます。
- 内臓を取り出します。
- 頭を切り落とし、3枚におろします。
- 腹骨をすいて皮を引きます。
- 身に細かく縦に包丁を入れ骨切りします。
- お皿に盛り付けて完成です。
わさび醬油でも美味しいのですがおすすめはショウガ醤油です。脂がのったニシンはこってりしているのでショウガのサッパリ感が合います!
ニシンは小骨が多くそのまま食べると骨が気になりますが、骨切りすることで小骨が気にならなくなり食べやすくなります。旬のニシンは脂がのっておりとても美味しいので是非やってみてください!
ニシンの煮物
旬のニシンを、ふっくらと炊いてシンプルに煮物にするのは、素朴ながらも素材の良さを味わえる絶品料理です。
生姜の風味を効かせ、甘じょっぱい味付けに仕上げることで、ニシンの旨味を最大限に引き出しています。簡単に作れるので、料理初心者の方にもおすすめです。
この機会に、旬のニシンを使った絶品料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
材料(2人前)
- ニシン(2匹)
- 料理酒 大さじ1
- ショウガ 1かけ
〇水 100ml
〇料理酒 50ml
〇しょうゆ 大さじ2
〇みりん 大さじ1
〇さとう 小さじ2
- ニシンの頭と尻尾を切り落とし半分に切ります。
- ショウガを薄切りにします。
- ニシンの切り身に十字の切り込みを入れます。
- ニシンをお皿にのせ料理酒をかけ10分ほど置き、キッチンペーパーで水気を拭きとります。
- 鍋に〇の材料を入れ中火で沸騰させます。沸騰してきたらショウガを入れ蓋をし10分ほど煮ます。
- お皿に盛りつけて完成です。
ニシンの一夜干し
青物で身の劣化が早いニシンですが干物にすることで日持ちします。たくさん釣れた際におすすめの調理法です。干物にすることでより旨味が凝縮され美味しく頂けますよ!
材料
- ニシン 1匹
- 塩 小さじ1
- 水 100cc
- ニシンの鱗を落とします。
- 頭を切り落とし、背中から開き内臓を取り除きます。
- 中骨と腹骨を取り除きます。
- 塩と水を混ぜ塩水を作り、そこにニシンを浸し2~3時間ほどおきます。
- 水気を拭き取り、日陰や冷蔵庫で1晩干して完成です。
食べる際は、そのままグリルやフライパンで焼いてください。ニシンは水分が多くそのまま焼くとビチャっとしてしまいがちですが、干すことで適度に水分が抜け、旨味も増すので美味しくいただけます。
まとめ
今回はニシンの生態や釣り方、調理法についてご紹介しました。
ニシンは日本だけでなくヨーロッパでも国民食となっています。群れを成すので漁がしやすく加工も容易にできるからです。また、栄養価も高く生活習慣病予防にも役立つ魚です。
ニシンの旬である冬から春にかけては脂乗りもよく、濃厚でとろけるような味わいです。おすすめの調理法はお刺身や煮物、一夜干しがおすすめです。
ニシンを釣る際は、サビキ釣りがおすすめです。現在は北海道でしかニシンを狙うことができませんが、産卵期に群れが入ってくれば数釣りを楽しめる魚です。サビキ釣りは初心者の方や子どもでも出来る簡単な釣り方なので、是非狙ってみてください。
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