クロダイ(チヌ)ってどんな魚?生態や特徴そして釣り方をお伝えします!

いぶし銀で野武士の風貌も感じさせるクロダイ(チヌ)。釣りの中でも人気の魚種で、さまざまな釣りを楽しむことができます。ここではクロダイの生態や特徴、そして釣り方に加え料理方法などをお伝えします。

クロダイは神経質な割に思いがけない場所で釣れることがあり、とても奥が深い釣りといわれます。また、釣れたときの重い引きで釣り人を魅了し、根強いファンがいます。今回の記事をきっかけに、クロダイ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

目次

クロダイ(チヌ)ってどんな魚?生態や特徴

分類:スズキ目タイ科ヘダイ亜科

クロダイは成長すると60cmを超える大型になる個体もいます。通常釣れるのは30cm~40cmのサイズが多く、その時の状況に釣り方がマッチすれば、数釣りを楽しめます。しかし、警戒心が強いこともあり、簡単には釣れないのもクロダイ釣りの特徴です。

日本では江戸時代からクロダイ釣りは楽しまれており、身近な魚であることも知られています。産卵期は春先の3月~4月下旬で、この時期は思いもしない浅場で抱卵した大型のクロダイが釣れるのが特徴です。

なおクロダイをチヌと呼ぶのは、その昔、クロダイの漁獲高の多い大阪湾を、「茅渟海(ちぬのうみ)」と呼んでいたからという説があるようです。また、クロダイは出世魚であり、性転換するという特徴があるので次にお伝えします。

クロダイ(チヌ)は「出世魚」

出展元:https://www.photo-ac.com/main/detail/25140805

成長度合いにより呼び名が変わる魚を「出世魚」といいます。かつて江戸時代の武士や学者などは社会的な身分が変わると名前を変える慣習があったようです。とても縁起の良いこととされ、成長の度に呼び名が変わる魚を「出世魚」というようになりました。

関西ではチン、ババタレ、チヌ、オオスケ、また関東ではチン、チンチン、カイズ、クロダイと呼び名が変わるのが特徴です。ほかに「出世魚」と知られる魚種は、ブリ、スズキ、サワラなどで、クロダイと同様、大きさにより呼び名が変わります。

クロダイ(チヌ)は性転換する

出展元:https://www.photo-ac.com/main/detail/22852103

小さい頃は雄で成長すると雌に性転換する生き物を「雄性先熟」といいます。体が大きい方が自然の中での産卵には有利ですので、体の大きな魚が雌となります。産卵期には雌の群れに少数の雄がいるという環境を作り出すようです。

クロダイは「雄性先塾」として知られ、いわば一夫多妻制の生活を送っています。今までの生き物の習性により得た形態といえるでしょう。これとは逆に雌から雄に変わることを「雌性先塾」といい、マハタやサクラダイなどがあてはまります。

クロダイ(チヌ)の生息地は?日本では釣れる?

日本では北海道南部、日本海側、太平洋側、東シナ海側などに幅広く生息しています。南西諸島以南には生息しておらず、クロダイに似た亜種がその海域に生息しているのが特徴です。

また海外では朝鮮半島、香港、台湾などに生息しています。日本では瀬戸内海の漁獲高が多く、広島県のクロダイ漁獲高は日本一です。また、クロダイに似た魚で、ヒレの黄色い「キビレ」は主に汽水域に生息しています

釣りのシーズンは乗っ込み期の春先の3月に始まり、越冬前の荒食いする秋口にクロダイ釣りはピークを迎えます。もちろん魚影の濃い場所であれば通年狙うことも可能です。

クロダイ(チヌ)釣りの方法や仕掛け方法

出展元:https://www.photo-ac.com/main/detail/25679885#goog_rewarded

クロダイはいろいろな釣り方がありますが、ここでは人気の高いウキ釣りやルアー釣りなどを紹介します。

・ウキ釣り

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クロダイ釣りで最も人気のあるのがウキ釣りです。この釣り方はマキエをまいてポイントを作り、魚の活性をあげて狙う釣り方です。5m前後の1号クラスの竿に、2~3号の道糸を巻いた2000~3000番のリールを取り付けます。

ハリスは1.5号前後で、チヌ針2号、餌はオキアミや生きエビ、さらに練り餌やコーンなども使います。棒ウキや円錐ウキなどを誘導仕掛けで取り付け、ウキが水面から沈んでいくのを楽しむ釣りが特徴です。

・ルアー釣り(トップウォーター、チニング)

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ルアーでクロダイを狙う場合、トップウォーターで水面に出てくるクロダイを狙うトップウォーターの釣りと、水底で狙うチニングなどがあり、人気を博しています。

トップウォーターでは6~8ft前後のミディアムクラスの竿に、PE1号前後の糸を巻いた2000~3000番のリールを取り付けます。リーダーはフロロカーボンの5号前後、ルアーは5cm前後でクロダイ専用のものがあり、バス用のルアーでも楽しめます。

チニングも専用のタックルが発売されており、トップウォーター用よりひと回り小さいタックルで釣りをします。チニングではワームを完全に水底まで沈め、アクションをつけクロダイを誘います。

クロダイ(チヌ)の味や調理法

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外洋に面した釣り場や水質の良い海域で釣れたクロダイは臭みがなく刺身などの生食が可能です。クロダイは生育場所で臭みが出たり、産卵直後は旨味が少なくなったりします。個体によっては味のばらつきが出ることがあります。

出展元:https://www.photo-ac.com/main/detail/23667125#goog_rewarded

魚の鮮度を保つため、持ち帰る際は血抜きや神経抜きなどの下処理をします。血抜きは、まずクロダイのエラをナイフで切り取り、さらに尻尾に切り込みを入れ海水を入れたバッカンに魚を入れます。

また神経抜きは尻尾を切り落とした際、骨近くの小さな穴にワイヤーを差し込み、頭の方まで差し込んでいけば完了です。

クロダイ(チヌ)の刺身

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臭みのない個体でしたら刺身にして食することができます。マダイと同じく白身なのがクロダイ(チヌ)の特徴です。下処理の済ませた魚を3枚におろし皮をひきます。3枚におろしたら刺身用の冊をとりますが、背側と腹側、魚の両面で4つの冊が取れます。

背側の冊はあっさりしていますが腹側は背側より脂がのっているのが特徴です。背側と腹側を食べ比べてみると微妙な味の違いを感じることができるでしょう。また、冊が余るようでしたら、昆布と寝かせた昆布締めもおすすめです。

刺身の冊が大きく取れた場合、刺身のほかにカルパッチョも楽しめます。薄くそぎ切りにした身に塩こしょうし、オリーブオイルをかければ完成です。好みによりケーパーと一緒に食べると、複雑な味の料理へと変わります。

クロダイ(チヌ)の塩焼き

出展元:https://pixabay.com/photos/fish-sea-bream-grilling-grilled-2366925/

産卵直後や大型になったクロダイは刺身にすると旨味を少なく感じることがあるため、焼き物にするとよいでしょう。一般的な家庭料理用の調理器具では、概ね30cm位の大きさまでは1匹丸ごと焼くことができます。

ただし、焼き物は上手に火を通すのにコツがあるため、焼き魚専用のグリルをおすすめします。もし、火力の調節を自ら行う必要がある場合は、強火の遠火でゆっくりと焼き目をつけながら焼いていきます。

焼き物には塩焼きのほかにアクアパッツァもあります。この料理は魚をオリーブオイルで炒めた後、水で煮込み、味付けは塩コショウのみというシンプルなイタリア料理です。煮込む際にトマトを加えるのもよいでしょう。

クロダイ(チヌ)の煮つけ

出展元:https://www.photo-ac.com/main/detail/22136797

クロダイは煮つけにしても美味です。煮つけを作るにはコツがあり、和食の基本である「さしすせそ」の順で料理することをおすすめします。さ、は砂糖、し、は塩、す、は酢、せ、は醤油、そ、は味噌を意味します。

なお調味料の比率については所説ありますが、酒・砂糖・醤油を1対1対1の割合で使うと味付けの失敗が少なくなります。クロダイの切り身2枚を煮つけにする場合、まず水100ccに酒を大さじ2加え沸騰させます。

沸騰したところで切り身2つを投入し、砂糖を大さじ2加え少し煮込み、さらに醤油を大さじ2加えて煮込みます。このとき煮汁に魚の旨味も溶け出しているため、少し冷ますことにより煮汁が切り身に戻り美味しく頂けます。

まとめ

出展元:https://www.pakutaso.com/20110413120post-54.html

ここではクロダイの分布や生態と特徴、そして釣り方、さらに料理方法などをお伝えしました。クロダイは神経質な割に思いもしない場所にいることもあり、クロダイ釣りは奥が深いともいわれます。

特に、クロダイは日本の沿岸部に幅広く生息しているため、日本各地で釣りができます。クロダイ釣り旅行も楽しめそうです。

この記事をきっかけに、自分にあった釣り方でクロダイ釣りをたのしんでみてはいかがでしょうか。

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