ベラは種類が多い海水魚で、全世界に500種類以上の種類が存在します。
日本国内でも140種類程が生息しており、その中でも代表的な魚がキュウセンです。特定の地域では高級魚とされ、釣りと味を楽しむ人も少なくありません。
この記事では、ベラの代表格キュウセンの生態と特徴を紹介します。さらに、ベラ釣りの方法と、美味しいベラの調理法も併せて紹介しますので、この記事を参考に、ベラ釣りとその調理を存分に楽しんでください。
ベラってどんな魚?生態や特徴
分類:スズキ目ベラ科
ベラは、熱帯魚を思わせる鮮やかな体の色彩が特徴的な海水魚です。雄の体は緑色、雌や幼魚は赤色で長い縦縞のもようが見られます。その色鮮やかさや姿から、同じベラ科のホンベラと間違われることもあります。
体長は雄が30cm前後、雌が20cm前後の大きさとなり、尾ビレまで続く背ビレも特徴的です。体は大きな丸型のうろこに覆われており、多くのヌメリにも覆われています。
また、小さなオチョボ口も特徴的です。ベラは小さなオチョボ口なので大きく開くことはできませんが、甲殻類などを食べる動物食性なので、鋭い歯を持っています。
地域によっては独特なヌメリの多さなどから厄介者扱いされることもある魚ですが、旬である夏の時期の美味しさは、一度は味わってみる価値があります。
ベラは高級魚であり外道でもある
ベラは美味しい魚ですが、地域によって評価は大きく分かれます。瀬戸内を中心に西日本では、その美味しさから高級魚として人気があり、釣りの対象としても人気がある魚です。
しかし、関東などではあまり評価が高くなく、ほとんど食べられることはありません。釣りの際には外道として扱われることが多いです。
嫌われている理由としては、身の締まり具合の違いと言われています。味自体に大きな差はないですが、流れが早い瀬戸内で育ったベラは、他の地域のベラに比べて引き締まった身が特徴です。一方、他の地域のベラは、身が水っぽい印象を持つことがあります。
ベラは雌から雄へと性転換する
ベラ科に属する魚の多くは性転換することで知られています。キュウセンも成長過程において性転換する種類です。
ごく稀に、生まれた時から雄の個体もいますが、ほとんどの個体は雌として生まれてきます。グループの中で一番大きく成長した個体が雄に性転換し、赤っぽい体色も青い体色へと変わります。
雄に性転換した個体は、複数の雌を抱えたハーレムを形成。しかし、グループの中には雌のふりをした、赤い体色のままの雄も存在しています。産卵期にこっそりと自分の精子をかける、したたかな行動も確認されています。
ベラの生息地は?日本では釣れる?
ベラは北海道から九州南岸までの日本海・東シナ海沿岸、青森県から南の太平洋、瀬戸内海、有明海、伊豆諸島、南大東島に広く分布しています。朝鮮半島南岸・東岸、済州島、台湾、福建省、広東省など海外にも分布しています。
ベラは、沿岸部や内湾の岩と砂地が交錯する場所に生息しており、キスと同じようなポイントで釣れることが多いです。岩の周りに群れでいるため、1匹釣れると同じ場所で続けて釣れることが良くあります。
人気スポットの瀬戸内では、水温が上がる5月〜10月がベラ釣りの時期となります。また、ベラは夜は砂地に潜んで眠る魚です。ベラを釣るには、夜明けから日が落ちるまでが狙い目です。この情報を参考に、ベラ釣りの計画に役立ててください。
ベラ釣りの方法や仕掛け方法
ベラの代表的な釣り方は投げ釣りです。瀬戸内周辺ではベラの沖釣りも盛んですが、関東など他の地域では、狙って釣りをすることは少ないです。
しかし、ベラ釣りは手軽にできる魅力があります。ベラの投げ釣りは、釣り初心者や家族で楽しむ釣りにはうってつけです。
ベラを釣るポイントは、砂地の浅瀬が最適です。投げ釣り用のタックルやライトタックルでのちょい投げ釣りがおすすめです。仕掛けをキャストし、着底したら海底をゆっくりと誘う釣り方をします。
ベラは岩のある砂地に多くいますが、根掛かりが発生しやすくなるので注意しましょう。根掛かりの対策としては、浮き上がりの良いジェット天秤を使うことをおすすめします。潮の流れによって天秤の重さを変えるのも釣果に影響します。
また、ベラはエサを丸呑みすることがあるので、針ハズシの準備をすることもおすすめします。年間を通して釣りを楽しむことができますが、特に5月〜10月の水温が高い時期がベストです。
ベラ釣りの仕掛け
- ロッド 3.6〜4mの投げ竿 シーバスロッドでも代用できます。
- リール 2500〜3000番のスピニングリール
- ライン PE 0.6号〜1号 150m〜200m
- 天秤 8号〜15号
- 針 キス用 6号〜7号
- エサ アオイソメ、イワイソメなど
市販のキス釣り用の仕掛けでも釣りを楽しむことができます。
ベラの味や調理法
どのような食べ方をしても美味しいとされているベラの代表格キュウセンですが、下処理には手間がかかります。下処理をしっかり行うことが、美味しく食べるための重要なポイントです。
体の表面にはヌメリが多く、しっかり取り除かなければ調理することが難しいです。ヌメリを取り除くには、大きなボウルにベラと塩をたっぷり入れ、塩で揉みます。塩揉みするとヌメリが浮き上がるので、水でしっかりとヌメリを洗い流して下さい。
ヌメリを水で洗い流したら、内臓を取り出します。匂いを取るために酢を加えて寝かせれば下処理の完了です。
ベラのお刺身
最初に紹介するのは、ベラのお刺身です。弾力のあるプリプリの身と、滑らかな歯触り、そして濃厚な旨味が絶妙に結びつき、極上の味わいを楽しむことができます。大きなベラが手に入ったら、まずはお刺身に挑戦しましょう。
ベラ独特のヌメリを丁寧に取るなど、前述したようにしっかりと下処理を行います。三枚におろした後、腹骨をそぎ、残った中骨を骨抜きで取ります。ベラは小骨が多いので、美味しく食べるためにも、骨を抜くことは重要なポイントです。
皮を剥ぎ、食べやすいお好みの大きさに切り分ければ完成です。一つ一つ丁寧に行うことで、ベラの刺身はさらに美味しくなります。ベラのお刺身は、豊かな味わいを直接感じられる絶品料理です。
ベラの塩焼き
ベラを美味しく焼くためにも、しっかりとした下処理が欠かせません。ベラの特徴的なヌメリを取り除き、うろこを除去し、内臓も丁寧に取ります。塩焼きをする場合でも下処理は重要です。
下処理をしたベラの水気を切り、適量の塩を振ります。塩をベラの表面にしっかりと振りかけたら、グリルの火を中火にし、焼き始めます。
両面焼きのグリルをお持ちの場合は7分から9分、片面焼きの場合は片方を4、5分焼き、色づき具合を見ながら反対側を返し、同様に4、5分焼きます。
皮に焼き色がついたら、焼き上がりです。ベラの塩焼きは、シンプルながらも豊かな味わいを堪能できる一品です。焼きたての香ばしさと、大根おろしのさっぱりとした味わいが絶妙にマッチします。
ベラの煮付け
時間を掛けて煮込んだベラは、最上級の美味しさを堪能できる逸品です。洗練された味わいは、食べる人を魅了します。
ベラの煮付けを作るには、ヌメリ取り、うろこと内臓を取り出すなど、下処理が大切です。下処理をしたベラを素焼きにすることで、水分が抜けて旨味が凝縮し、さらに味が染み込みやすくなります。美味しさを引き立てる重要なポイントです。
醤油、酒、砂糖の調味料が焦げ付かないように水や酒で調整し、素焼きにしたベラを鍋に入れて落としぶたをします。強火から中火でじっくり煮ると、煮汁があめ色になります。とろみが出るまで煮たら完成です。
一度作れば、家族からのリクエストが絶えない一品になること間違いなしです。素焼きにすることがベラの臭みを取る秘訣です。
まとめ
この記事ではベラを代表するキュウセンの生態と特徴を紹介しました。ベラは瀬戸内を中心に関西では人気のある高級魚として、多くのファンに釣りや調理などで親しまれています。
関東などの地域では外道扱いされることが多いですが、食べても美味しい魚ですので、この記事を参考に下処理をしっかり行い、一度食べてみてください。
釣り方も比較的簡単ですので、家族で楽しむことができます。ぜひ、釣りに挑戦しベラの味を堪能してみてください。
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