見た目が美しく食べておいしいキンメダイは、魚のなかでも特に人気の魚種で、ポイントを押さえれば釣りのターゲットにすることも可能です。ただ、キンメダイは「赤くて目が大きい魚」「煮付けがおいしい魚」のように、おおまかにしか知らない方もほとんどだと思います。
そこで今回は、キンメダイについてこのようなポイントを紹介していきます。
- キンメダイの生態や特徴
- キンメダイの生息地
- キンメダイの釣り方
- キンメダイの味や調理法
ぜひ最後まで読んでキンメダイの魅力を知ってみてください!
キンメダイってどんな魚?生態や特徴
分類:キンメダイ目キンメダイ科
真っ赤な身体と大きな目が特徴のキンメダイは一般的には高級魚として流通され、形のよいものだと1キロあたり1万円ほどで取引されることもあります。成魚になるまでにはおよそ3年ほどかかり、体長は40cm前後、大きい個体だと50cm以上に成長する場合もあります。
別名で「キンキ」「アカギ」「アカギギ」「マキン」とも呼ばれ、主に関東圏の海に面する地域を中心に親しまれている魚です。12~2月の寒い時期に獲れるキンメダイは特に脂のりがよいため、この時期の料亭では旬の一品として提供されることがしばしばあります。
今でこそキンメダイは高級魚として認知されていますが、数十年前までは血走ったような大きな目と真っ赤な見た目から、食べられる魚ではないと考えられ敬遠されていました。
西日本で獲れたキンメダイは獲れた地元ではろくに売れなかったため、需要のある静岡県の下田港まで運んでいたそうです。その影響で下田港のキンメダイが有名になり、今ではその味のよさが知れ渡り、全国で食べられるようになりました。
目が大きい理由は「住む場所」にあり
キンメダイの特徴のひとつとして「大きな目」があげられますが、目が大きな一番の理由は住む場所にあります。キンメダイの住処は水深100~800mの深海で、地上からの太陽光はほとんど届かず、目視で何かを確認することができない環境です。
他の深海魚は目が退化して触覚や聴覚などが進化したのに対し、キンメダイは目を大きく進化させたことにより、少ない太陽光を効率よく目に集めて獲物を捕らえる能力を得ることができました。
深海魚なのに釣り上げた後に内臓が飛び出ない
よくテレビ番組などで獲れた深海魚が船に上がったときに、目や内臓が飛び出してしまう描写がありますが、キンメダイは深海魚にもかかわらずそのようなことがありません。
内臓などが飛び出てしまう原因は、体内に浮袋などの空気が入るスペースがあるためですが、実はキンメダイには浮袋がなく体内に空気を取り込めません。
一般的な深海魚は浮袋の中の空気を調節して海中でバランスをとっていますが、キンメダイは体内の脂肪分でバランスをとることで深海に適応できるようになっています。そのため、地上に出ても体内の空気が膨張することなく、見た目が変わらないのです。
キンメダイの生息地は?日本では釣れる?
キンメダイは世界各地の深海に生息しており、日本では北海道の釧路沖~鹿児島県の奄美大島付近、特に関東よりも南の太平洋側に多く生息しています。また、主に水深100~800mあたりを住処としているため、釣りをする場合は沖に出て船上から釣り上げます。
釣り場は関東近郊の相模湾や駿河湾、房総半島などが有名で、船を出してから比較的近くに水深の深い場所があるため釣りやすく、キンメダイを狙いやすいです。その他の地域では、和歌山県の紀州沖や高知県の室戸岬沖の深海でもキンメダイを釣ることができます。
西日本ではあまりキンメダイを狙うことがなかったようですが、年々キンメダイの釣りスポットが開拓されてきており、ポツポツと釣りポイントが増えているそうです。
キンメダイ釣りの方法や仕掛け方法
キンメダイの生息地は水深100~800mの深海のため、釣りをする際は船で沖合いまで出て行う「深海釣り」で狙っていきます。深海釣りを行う際は以下の道具を用意しておきましょう。
- 電動リール
- 船竿
- 道糸
- 仕掛け
- 餌
- オモリ
- ヨリトリリング
深海釣りでは深場に行くほど水圧の影響を受け、巻き上げる際に苦労するため電動リールは必需品です。
船竿は深海釣り専用のロッドを用意するとよいでしょう。2m前後で負荷に負けない粘り強く曲がりやすいものがベストです。大手メーカーなどで複数展開されているため、購入の際にチェックしてみましょう。
道糸は10号で800m以上あるものを選びましょう。使用する条件としてかなり限定されているため、種類は選びやすいです。
仕掛けは針が5~10本付いた胴付き仕掛けを使用し、餌は主にサバやイカを使用します。
オモリは200~350号くらいを状況に応じて使用しましょう。また、深海釣りでは糸がヨレてしまいやすいため、ヨリトリリングを使用し未然に糸ヨレを防ぎましょう。
釣るときの手順は簡単で、以下の通りです。
- 仕掛けを投入し、着底したら少し引き上げて底を取る
- アタリがあってもいきなりアワセない
- ある程度ずっしりとした状態が続いたら電動リールで巻き取る
基本的には仕掛けを投入してからかかるのを待つ釣りのため、初心者でも分かりやすいです。
また、初心者の方は道具を用意することからはじめるとかなりハードルが高いため、最初は道具をレンタルして釣りを楽しんでみてください。対応してもらえる船宿を探す必要がありますが、だいたい5000円前後で借りられることが多いため、はじめの一歩にはおすすめですよ。
キンメダイの味や調理法
キンメダイの身は柔らかく小骨が少ないため、こどもからご年配の方まで幅広く好まれている魚です。特に旬を迎えたキンメダイは脂のりがよく、脂の甘さを感じるほど旨味が強くおいしいです。
新鮮なキンメダイであれば刺身でも食べられますが、あらゆる調理法でさらにおいしく食べることができます。ここからはキンメダイのおすすめの食べ方を作り方とあわせて3つ紹介します。定番なものから少しアレンジを加えた食べ方もあるので、ぜひチェックしてみてください!
おすすめレシピ①煮つけ
キンメダイの定番料理といえば煮付けです。「実は煮魚を作るのが苦手で……」という方でも少ない材料で簡単においしく作れるので、ぜひ試してみてください。
【材料】
- キンメダイ・・・3~4尾分
- 酒(清酒)・・・150cc
- 砂糖・・・大さじ4
- 醤油・・・100cc
【作り方】
- フライパンに酒と砂糖を入れて煮立たせる
- その中に下処理をしたキンメダイを並べて醤油を入れる
- 落し蓋をしてフライパンの蓋を少しずらして乗せ、ひと煮立ちさせたら弱火~中火で10分ほど煮る
- お皿に盛り付け、汁気が多ければとろみが出るまで煮詰めて回しかける
煮付けのポイントは「酒は清酒を使用すること」です。料理酒はお酒以外にも塩分や糖分が含まれているため、塩辛さや雑味が出やすいです。家に清酒がない場合はカップ酒などを使用すると使いきりやすいためおすすめです。
また、魚自体に臭みはあまりないと思いますが、気になるようであればしょうがの薄切りを数枚入れて作ってみてください。切り身の状態で作ってもおいしく作れますよ。
おすすめレシピ②塩焼き
キンメダイは塩焼きにすることでふっくらとした身とジューシーな脂の旨味を楽しむことができます。ごはんのお供はもちろん、お酒のおつまみにもバッチリです。
【材料】
- キンメダイ切り身・・・1~2尾分
- 塩・・・適量
- 大根・・・適量
【作り方】
- 下処理をしたキンメダイの両面に塩を一つまみ(親指、人差し指、中指でつまむ)ずつ振り、15分ほど置く
- キンメダイを置いている間に大根をおろしておく
- キンメダイの表面に水分が付いているのでキッチンペーパーなどで水気を拭き取る
- 魚焼きグリルにキンメダイを並べ、片面ずつ焼き目がつくまで焼く
- 両面焼けたらお皿に盛り、大根おろしを添えて完成
塩焼きのポイントは「塩を振った後に出た水分を拭き取ること」です。魚の余分な水分と一緒に臭みが出てくれるため、この工程を踏むことでよりおいしく焼くことができます。
おすすめレシピ③カルパッチョ
キンメダイを刺身で食べるのも格別ですが、カルパッチョにすると同じ生食でも違った味わいを楽しめます。
【材料】
- キンメダイの刺身・・・1尾分
- 玉ねぎ・・・1/8個
- タルタルソース・・・大さじ1
- 水菜・・・適量
- オリーブオイル・・・適量
- 塩・・・ひとつまみ
【ソース】
- マヨネーズ・・・大さじ1
- レモン汁・・・小さじ1
【作り方】
- 玉ねぎをみじん切りにし、10分ほど水にさらして水気をしっかり絞る
- 【ソース】の材料を混ぜておく
- ボウルにキンメダイの刺身、塩、刻んで水気を切った玉ねぎ、タルタルソース、キンメダイを入れて混ぜる
- 水菜を食べやすい大きさに刻み、お皿に平らに並べる
- 3を水菜の上に平らに乗せて、2のソースを回しかけてオリーブオイルを適量かけて完成
カルパッチョのポイントは「食べる直前に作ること」です。作ってから時間が経つとキンメダイから水分が出てしまい味がぼやけてしまいます。また、もしあればピクルスやケッパーを刻んで入れて作るとよりおいしくなりますよ。
まとめ
キンメダイは沖合の深海に生息するため、釣るまでは一苦労かもしれません。しかし、初心者の方でも道具レンタルを利用すれば挑戦するハードルも低く、事前に必要なものも少ないため少し変わった釣りをしたい方には特におすすめです。
また、釣った後のキンメダイも刺身をはじめ、煮付けや塩焼き、カルパッチョなど様々な調理法でおいしく食べることができます。休日にはぜひキンメダイ釣りにチャレンジして釣りと料理を楽しんでみてください!
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