ウスバハギは日本の沿岸でも見られる海水魚です。特徴的な見た目のウスバハギはカワハギの仲間で、釣りはもちろん調理も楽しむことができます。
カワハギなどに比べ、一般的にはあまり馴染みのない魚です。しかし、ハギ系の魚の中ではサイズがあり、また安価で売られていたりもするので、さまざまな調理を楽しむことができる魅力があります。
この記事では、ウスバハギの生態と特徴、釣りの方法や調理法を紹介します。記事を参考に釣りと調理を楽しんでください。
ウスバハギってどんな魚?生態や特徴
分類:フグ目カワハギ科
ウスバハギの体は極端に平たく、口は小さなおちょぼ口で、非常に個性的な外見をしています。体が平たく薄いことから地域によっては「ハゴイタ」や「ウチワ」のような親しみやすい名前で呼ばれることもある魚です。
体長は大きなもので70cmにも達し、全体的に灰色で目立った模様はありませんが、若い個体には斑紋があるものもいます。
ウスバハギの産卵期は5月〜7月の夏の時期です。また、ウスバハギの卵は特徴的で、粘りけが強いという特性を持っています。
ウスバハギの稚魚やまだ若い魚は、藻などの漂流物について成長します。成熟すると群れを作るようになります。群れで行動するため、定置網ではまとまって漁獲されやすいです。
旬は秋から冬で、特に肝が美味しいです。
シガテラ毒 ウスバハギは毒をもっている?
ウスバハギにはシガテラ毒を有している個体もいます。大型になるほど注意が必要になります。シガテラ毒とは、特に暖かい海のプランクトンが持つ毒素です。ウスバハギがこれらのプランクトンを食べると、毒素が体内に蓄積します。
毒素が原因で食中毒を引き起こす可能性があります。特に、この毒は消化器系や神経系に悪影響を及ぼし、調理による高温処理でも分解されません。そのため、ウスバハギを食べる際にはシガテラ毒の存在に注意が必要です。
有毒部位は筋肉や内臓であることが多いです。
カワハギ、ウマズラハギ、との関係性
カワハギ科の魚の中では、カワハギ、ウマヅラハギ、ウスバハギの3種が食用として親しまれてます。その中でもウスバハギはそれほど目立つ存在ではありませんが、近年、漁獲量は増加傾向にあります。
大量に定置網にかかると、価格が下がりやすくなるため、漁師にとっては扱いに困ることもある魚です。味わいに関しては、カワハギが最も美味しく、次いでウマヅラハギ、ウスバハギとされています。これらの価格も同じ順序になります。
ウスバハギの生息地は?日本では釣れる?
熱帯や亜熱帯の海域などに生息するウスバハギは、北海道以南の沿岸に広く分布しています。水深20m前後のやや浅いところに多く生息し、水深200m前後にある岩礁周辺の砂地でも確認されています。
暖かい海域を好む魚なので、南に行くほど見ることが多いです。温帯・熱帯海域を中心に世界的に分布しており、日本の近隣では朝鮮半島沿岸、台湾、中国の東シナ海・南シナ海沿岸にも生息しています。
ウスバハギは、生息地である北海道以南の各地の磯場や堤防で釣ることができます。特に暖かい海域を好むため、伊豆諸島、三重県、西日本各地で漁獲量が多いです。また、その地域がウスバハギ釣りに適している場所となっています。
ウスバハギを狙うには暖かい地域での釣りがおすすめです。
ウスバハギ釣りの方法や仕掛け方法
ウスバハギを釣るには、遠投カゴ釣りがおすすめです。釣る場所にあった装備と安全対策をすることが重要です。特に磯釣りでウスバハギを狙う際は、激しい波打に気を付けましょう。
- ロッド:遠投竿 3号 5.3m
- リール:スピニングリール 2500~3500番
- 道糸:ナイロン 5号
- ウキ止め
- シモリ玉
- 発泡ウキ:15号前後
- ゴム管
- サルカン
- クッションゴム
- 片テンビン
- ステンカゴ
- オモリ:10号前後(ウキとのバランスで調整)
- ハリス:4号 1ヒロ
- ハリ:チヌバリ 1~2号
主な付け餌としては、オキアミの生ものが用いられます。また、鶏肉の細切りやダンゴ餌も効果的です。
撒き餌としては、メジナ釣りで一般的なアミエビやオキアミ、パン粉を組み合わせて使用します。さらに魚粉入りの集魚剤を加えると、より多くのウスバハギを引き寄せる効果が期待できます。
ウスバハギを引き寄せるための工夫としては、これらの餌をうまく活用することがポイントとなります。
ウスバハギは、磯場などで行うオキアミでのウキフカセ釣りの際の外道として釣れることもある魚です。さらに、鋭い歯を持つため、ハリスを切ることも多くあります。
ウスバハギを釣る際は、ハリの結び目から数cmにビニールチューブを装着すると、ハリスの保護になるので試してください。
ウスバハギの味や調理法
ウスバハギは、クセがなく歯ごたえのある白身魚です。フグに似たあっさりとした味わいが特徴です。特に旬の時期の肝が人気ですが、少ない脂と高タンパク質でヘルシーな食材としても知られています。
刺身だけでなく、煮たり、焼いたり、揚げたりとどんな料理法にも適しています。身が硬くならないため、さまざまな調理法で食べられていますが、味がタンパクで物足りなさも感じます。
味付けに工夫が必要になりますが、肝醤油を作って食べれば物足りなさは解決するでしょう。
ウスバハギのお刺身
新鮮なウスバハギは、刺身として楽しむのがおすすめです。フグのような美しい白身と適度な歯ごたえを楽しむことができます。ただし、アニサキスなどの寄生虫のリスクもありますので、特に内臓部分には注意が必要です。
ウスバハギのお刺身の作り方
捌き方
- 口を切り落とす
- 切り落とした口の断面から皮を一気に剥がす
- 目の横を背中から背骨にかけて断ち切り、引きちぎるように頭を落とす
- 肝と内臓を取り出す
- 血合に切れ目を入れ、ブラシを使って洗い流す
- 水分を取り3枚におろす
- 腹骨の部分をと血合骨の部分を切り取る
- 薄皮があるので、包丁を使って剥ぐ
- 薄造りにして盛り付ければ完成です
肝と内臓を取り出す際は、苦玉を潰さないように気をつけましょう。もし潰せば、肝に臭みと色が移ってしまいます。
ウスバハギの肝醤油
ウスバハギの肝は、その濃厚さから肝醤油にするのが最適です。体重の約10%もある肝がウスバハギの最大の魅力と言っても過言ではありません。しっかりと処理することで濃厚な味わいをさらに引き立てることができます。
ウスバハギの肝醤油の作り方
- ウスバハギ 1匹分
- お酒 肝が浸かる程度
- わさび 適量
- 醤油 適量
作り方
- 捌いた肝を日本酒につけ臭みを取る
- 肝の水気をしっかり取る
- 肝を熱湯で湯通しする
- 裏ごし器で肝をこす
- 裏ごした肝にわさびと醤油を加えてかき混ぜれば完成です
肝醤油でお刺身を食べるのがおすすめです。クセのない味のお刺身の味わいが、濃厚で奥深い味に変わります。鮮度の良いものは湯通ししなくても作ることができます。
ウスバハギの唐揚げ
タンパクな味わいのウスバハギは唐揚げもおすすめです。鶏肉にも似た食感で、ビールのおつまみにも合います。
ウスバハギの唐揚げの作り方
材料(2人分)
- ウスバハギを3枚におろしたもの
- 酒 大さじ1
- 醤油 こさじ1
- すりおろしにんにく 小さじ1
- すりおろししょうが 小さじ1
- 塩 少々
- コショウ 少々
- 片栗粉 適量
- サラダ油 適量
- レモン お好みで
作り方
- 3枚におろした身の水分を取る
- 食べやすい大きさに切る
- すりおろしたにんにく、酒、醤油で漬けるタレを作る
- 漬けダレに切った身を入れる
- 塩、コショウを振りかけ10分程置く
- 漬け込んだ身に片栗粉をまぶしたら油で揚げる
- カリッと揚がったら余分な油をキッチンペーパーに吸わせる
- レモンと共にお皿に盛り付ければ完成です。
臭みを取ると、ウスバハギはさらに美味しく食べることができます。塩、酒を水に薄めたものに身を漬ければ臭みは取り除けます。
まとめ
今回は、見た目がとても特徴的なウスバハギについて、生態や特徴、釣り方やおすすめの調理法などを紹介させていただきました。
カワハギは人気があり有名ですが多くの方に認知されていますが、ウスバハギのことは意外と知らなかったという方が多かったと思います。
磯釣りなどでは外道として釣れることのある魚ですが、旬の時期の肝は絶品です。
この記事を参考にウスバハギ釣りにチャレンジして、さまざまな調理法でウスバハギを味わってみてください。
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