日本ではあまり聞き馴染みのないメルルーサ。はじめて聞いたという方も少なくない魚ですが、実は知らず知らずのうちに口にしていたことがあるかもしれません。海外では魚市場で丸々1匹売られていることもあり、比較的家庭にも浸透している魚です。
この記事ではメルルーサの生態をはじめ、特徴や釣り方、おいしく食べるための調理法などを解説していきます。メルルーサについて知らなかった方は、最後まで読んでどんな魚かぜひ知ってみてください。
メルルーサってどんな魚?生態や特徴
分類:タラ目メルルーサ科
鋭くとがった歯を持つコワモテな魚のメルルーサは、体長70cm〜1.5mほどで、大きい個体では2mにもなるタラの一種の大型魚です。スケトウダラに形が似ており、体表に茶褐色の斑点が細かくあるのが特徴です。
全世界でおよそ15種類のメルルーサが分布し、主に自分よりも小さな魚やイカなどを餌としています。旬は7~12月頃で、北米沖や南半球でのトロール漁で獲れたものは大衆魚として、ヨーロッパで釣り上げられた鮮魚は高級魚として親しまれています。
学名が付けられたのは1872年ですが、日本に浸透したのはトロール漁が盛んになりメルルーサの輸入量が増えた1960年以降で、はじめて日本の船で漁獲し販売されたのは1975年です。
実は身近な魚?よく知るアレはメルルーサ
日本の魚屋さんや鮮魚コーナーにはメルルーサという魚は並べられておらず、知らない方も多いかと思いますが、実は知らないうちに口にしていたかもしれません。
学校給食で人気のメニューの白身魚フライは、一部ではメルルーサが使用されており、大手弁当屋チェーンのお店で作られるのり弁に入っている白身魚フライにも、一部でメルルーサが使用されています。
海外でもマクドナルドで提供されるフィレオフィッシュの原材料にメルルーサを使用していたことがあり、安価で味がよいことから国内外問わず様々なところで活用されている魚と言えます。
メルルーサは各地によって獲れる種類が異なる
メルルーサは約15種類が各地で生息していますが、地域によって種類は異なります。ニュージーランド・オーストラリア近海の水深400〜1000m程に分布する『ニュージーランドヘイク』はメルルーサの中でも代表的な魚種で、他のメルルーサよりもクセがなく身が締まっているのが特徴です。
南アフリカ・スペイン近海の水深50〜900mあたりに生息する『ケープヘイク』は、最近では取り扱いがない場合が多くありますが、昔は冷凍品で売られることがありました。
南米チリ・アルゼンチン近海の水深30〜700m程に棲む『デコラ』は別名で『ホキ』とも呼ばれており、メルルーサと比べて皮が薄く、フライにするとしっとりとした仕上がりになるのが特徴です。
メルルーサの生息地は?日本では釣れる?
メルルーサは地域により様々な種類が生息していますが、実は日本近海ではほとんど見かけない魚です。主な分布としてヨーロッパ近海、ニュージーランド沖、北米太平洋岸沖、南米大西洋岸・太平洋沖、アフリカ西洋岸沖などの比較的冷たい海の深海に棲んでいます。
浅いところでは30~50m、深いところでは1000m付近に生息しているため、主な漁の方法ではトロール漁が挙げられます。ただ、一部の地域では環境保護の関係で昔ほどトロール漁を行わず、ヨーロッパなどを中心に、刺し網漁や手釣りの方法で獲る地域が増えてきている状況です。
メルルーサを釣る場合は、旬の秋~冬に太平洋の沖合いまで船で出て、1000m以内の深海に狙いを定めてみるとよいでしょう。
メルルーサ釣りの方法や仕掛け方法
直前でお伝えした通り、日本の海域にはメルルーサがほとんど生息しておらず、日本ではマイナーな魚ということもありメルルーサ釣りが日本ではあまり知られていません。しかし、ヨーロッパでは手釣りでメルルーサを獲っているように、釣り上げること自体は可能です。
メルルーサはタラの仲間で生態も似ていることから、船で沖合いに出て深場の魚をターゲットにする『深海釣り』で狙っていきます。深海釣りでは水深があるほど水圧の影響を受け、人力では過酷な釣りになってしまうため、電動リールを主に使用します。
4~6号のPEラインを最低でも400mくらい、なるべく高速に巻けるものがベストです。仕掛けは針が3~8本程度付いた胴付き仕掛けを使用し、餌は主にサバ・サンマ・イカのようなにおいの出やすいものがより効果的です。
オモリは150~300号くらいのものを状況に応じて使用しましょう。また、深海釣りでは糸がヨレやすいため、ヨリトリリングを使用して糸ヨレを起こしにくくすると、釣りやすくなりおすすめです。
釣り方としては、まず仕掛けを底まで落とし、底から3~5mほどのところで食いつくのを待ちます。アタリがあったら、メルルーサが完全に餌を食うまで1分ほど待ち、その後引き上げます。釣り上げた際は鋭い歯に注意して処理をするようにしましょう。
メルルーサの味や調理法
メルルーサの身はタラのようなさっぱりとした味わいながらも、水分が多すぎず、身が程よく締まっているのが特徴です。生食では味わいが単調すぎる上に水っぽく感じやすく、あまりおいしくありません。そのため、火を通して食べるのが世界共通の一般的な調理法と言えます。
海外の各地域で食べられるメルルーサですが、日本では主に白身魚のフライや練り物などで使用されることが多く、クセのない味わいは子どもから大人まで幅広く親しまれてきました。ここからは、メルルーサを使ったおすすめレシピを3つ紹介していきます。
メルルーサのフィッシュバーガー
メルルーサの定番料理、フライを使っておいしいフィッシュバーガーを作ってみましょう。
【材料】
- バンズ・・・2つ
- メルルーサ・・・2切れ
- 塩・・・適量
- こしょう・・・適量
- 千切りキャベツ・・・30g
- タルタルソース・・・適量
- マスタード・・・小さじ2
- 揚げ油・・・適量
【衣】
- 薄力粉・・・大さじ1
- 溶き卵・・・1個分
- パン粉・・・30g
【作り方】
- メルルーサに塩・こしょうを振って5分ほど馴染ませる
- 味付けしたメルルーサに薄力粉→溶き卵→パン粉の順で衣を付ける
- 鍋に油を入れ、170℃で5分ほど揚げて油を切る
- バンズを軽く焼いた後にマスタードを塗り、千切りキャベツ、揚げたメルルーサ、タルタルソースを挟んだら完成
お好みでスライスチーズを加えてもおいしく食べられます。ハンバーガーショップの定番メニューになるのも納得の味わいです。
メルルーサのムニエル
メルルーサは油との相性がよいですが、バターと合わせた料理にすると香りとコクがプラスできるため特におすすめです。2つめは簡単にできるメルルーサのムニエルを紹介します。
【材料】
- メルルーサ・・・2切れ
- バター・・・10g
- 薄力粉・・・大さじ2
- 塩・・・適量
- こしょう・・・適量
- パセリ・・・適量
【作り方】
- メルルーサに塩・こしょうを振って5分ほど馴染ませる
- 表面に水分があればふき取り、薄力粉をまんべんなく付けて余分な粉は軽くはたいておく
- フライパンにバターを入れて中火で熱し、メルルーサの両面がこんがりするまで焼く
- お皿に盛り、パセリを振ったら完成
お好みでレモンや粗挽きの黒こしょう、醤油などをかけてもおいしく食べられます。
メルルーサのさつま揚げ
3つめは日本人に馴染み深い食べ物の1つ、さつま揚げです。一般的にはタラやエソなどの魚で練り上げて作られますが、メルルーサでもおいしく作れます。
【材料】
- メルルーサ・・・200g
- 塩・・・3g
- 酒・・・大さじ1
- 砂糖・・・小さじ2
- すりおろし長いも・・・大さじ2
- 片栗粉・・・大さじ2
- にんじん・・・40g
- 枝豆・・・40g
- 揚げ油・・・適量
【作り方】
- にんじんを2cm長さの千切りにし、耐熱容器に入れて600Wのレンジで1分半加熱する
- 枝豆は塩を入れたお湯で茹でてさやから出しておく(冷凍のむき枝豆であれば解凍しておく)
- メルルーサの表面の水気があればふき取り、一口大にカットしてフードプロセッサーやすり鉢で細かくすりつぶす
- ボウルに3と塩を入れ、粘り気が出るまでへらでよく混ぜる
- 4ににんじん、枝豆、酒、砂糖、すりおろし長いも、片栗粉を加えて混ぜ合わせる
- 小判型にまとめて冷蔵庫で30分ほど置く
- 鍋に油を入れ、160~170℃で3~4分ほど揚げて油を切ったら完成
調理のポイントは「小判型にまとめる際にやや薄めにしておくこと」です。揚げたときにタネが膨張するため、少し薄いくらいに成形しておくときれいな形に仕上がります。晩ごはんのおかずはもちろん、子どものおやつやお酒のおつまみにもピッタリです。
まとめ
日本近海ではあまり目にすることはありませんが、50年以上前から輸入され日本でも知らないうちに食されていたメルルーサ。
この記事でお伝えしたことをまとめると以下の通りです。
- メルルーサはタラの一種の深海魚
- 日本にはほとんど分布しておらず、ヨーロッパや太平洋などの冷たい海の深海に生息する
- 主な獲り方はトロール漁だが、釣りの場合は深海釣りで狙える
- 身が淡白なため、油を補えるフライやムニエルなどにすると絶品
釣りで狙うにはなかなか大変な魚なものの、食べるとなれば意外と身近な存在です。冷凍品であればスーパーなどで取り扱いされている場合があるため、この記事を機会にぜひメルルーサを味わってみてください!
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