夏と言えば川遊び、川遊びと言えばカジカ獲り。子供の頃にカジカ捕りを楽しんだことのある方は多いと思います。今でも穏やかな流れのキレイな川では、カジカ捕りやカジカ釣りを楽しむことができます。
カジカは見た目では想像することができないほど美味しい魚として人気です。鹿肉のような美味しさから、河鹿(かじか)の漢字を使って親しまれている地域もあります。
この記事では、食べても美味しいカジカの生態や特徴、子供から大人まで気軽に楽しむことができるカジカ釣りと調理法を紹介します。この記事をきっかけに、カジカ釣りを楽しんでみましょう。
カジカってどんな魚?生態や特徴
分類:スズキ目カジカ科
カジカは成魚でも、体長が最大で15cm程度と小さな魚です。頭が大きく口も大きい、唇が厚いなど特徴的な顔をしています。体表にはうろこが無く粘膜で覆われているのもカジカの特徴です。
見た目は良くないカジカですが、味は絶品です。古くから水のキレイな山間部などで、貴重なタンパク源として食べられてきました。食べられる身の部分が少ないこともあり、市場に出回るのは稀です。また、旬は産卵が終わった6〜12月頃になります。
産卵時期は2〜6月で、大きな岩の裏側などに卵を産みつけます。カジカは成長が比較的ゆっくりな魚で、1年目で体長が4〜5cm程度、2年目でも6〜7cm程度にしか成長しません。また、寿命が3〜4年と短いです。
カジカは種類によって卵の大きさが違う
カジカは「大卵型」、「中卵型」、「小卵型」のように卵の大きさで分類することもあります。地域によって生息する種類が違うことから、受精卵の大きさも違います。
大卵型は、キレイな水を好み、一生を河川で過ごします。受精卵の直径は2.6〜3.7mです。
中卵型は、ダムや堰の建設により降海と遡上が阻害され全国的に減少しています。受精卵の直径は2.2〜3.2mmです。
小卵型は、ほとんどが川と海の両側回遊性です。琵琶湖周辺にも生息しており、湖沼陸封性に分類される種類も存在します。受精卵の直径は1.8〜3.1mmです。
カジカには名前が沢山ある
正式にカジカと呼ぶ魚は、川に住むカジカのことを指します。また、日本には90種類ものカジカが存在し、川の他に海や湖に生息するカジカもいます。日本各地に存在するカジカは、地域によってさまざまな名前で呼ばれています。
石川県ではゴリやマゴリ、岐阜県ではアイカケ、新潟県ではカブ、和歌山県ではナナセなどカジカは地方名が多い魚でもあります。その他にも、海に生息するギスカジカやケムシカジカなどカジカという名を持つ魚は多いです。
カジカの生息地は?日本では釣れる?
カジカは北海道南部から九州までの広範囲に生息している魚です。上流域のキレイな川の砂地に多く生息しており、普段は石の下などに身を隠しています。また、カジカは泳ぎが得意ではなく、流れの穏やかな場所を好み、水の底を這うように泳ぐ特徴があります。
一生を川で過ごすカジカに対して、河川と海を移動する種類のカジカも存在します。水深1,000mの海底でも生息が確認され、回遊型や降海型のカジカとして認知されています。また、川に生息するカジカを河川型、陸封型と呼び、琵琶湖に生息するカジカは湖沼型です。
河川型、回遊型が存在するカジカは、全国各地の河川に生息しており、渓流釣りの外道として釣れることも多いです。夏の時期は川遊びの一環として、子供から大人まで、気軽にカジカ釣りを楽しむことができます。
カジカ釣りの方法や仕掛け方法
カジカ釣りは、子供達と川遊びをしながらでも楽しむことができる簡単な釣りです。箱眼鏡と言う大きな水中眼鏡のような道具を使い、川底を見ながら釣る「見釣り」で楽しむことができます。
ウェーダーや水に濡れても良い水着を着用し、箱眼鏡でカジカの潜んでいそうなポイントを探します。カジカは穏やかな流の水が良く通る石や岩の下などに潜んでいることが多いです。1つのポイントに複数のカジカが潜んでいることもあります。
釣り方は簡単で、ポイントに餌を投入して食いつくのを待ちます。食いつく瞬間も見ることができるので子供から大人まで夢中になれます。
餌はミミズや現地でも調達できる川虫を使うことが多いです。カジカは肉食魚で動く餌を好みます。ミミズや川虫が一般的に使われていますが、苦手な方には釣り用のイクラもおすすめです。
カジカの見釣り用の仕掛
カジカの見釣り用の仕掛けは簡単に作ることができます。必要なものは次の通りです。
- カジカ用のロッド
- カジカ用かハゼ用の5号前後の針
- B〜3Bのガン玉
ロッドに直接ハリスをつけ、ガン玉は針の手前に来るようにハリスを通せば完成です。このように、カジカの仕掛けは簡単に作ることができます。
カジカの味や調理法
カジカは各地で古くから、郷土料理として食べられて来ました。見た目からは想像ができないほどの、美味しい魚として人々に愛されています。市場になかなか出回らない魚ですが、釣りなどで手に入れた場合は是非、食べていただきたい魚です。
釣ったカジカを持ち帰る際は、鮮度を保つため氷締めにして持ち帰ることをおすすめします。
ここでは、カジカのおすすめの調理法を紹介します。しっかり処理することで、美味しく食べることができます。
カラッと美味しいカジカの素揚げ
カジカの調理法で真っ先に思いつくのは、カジカの素揚げではないでしょうか。カラッと揚げた素揚げは、カジカの旨味を凝縮したクセになる絶品料理です。
材料
- カジカ 釣れただけ
- 片栗粉 適量
- 塩 適量
作り方
- 釣ってきたカジカの腹をハサミで切り、胃袋を取り出します。
- カジカの体表のぬめりを塩を使って取ります。
- キッチンペーパーでカジカの水気を取ります。
- カジカに片栗粉と塩を軽くまぶします。
- 中温でじっくり揚げれば完成です。
からっと揚げたカジカの素揚げは、1度食べればクセになり、食べることがやめられなくなるほどの絶品料理です。
香ばしいカジカの炭火焼き
川魚の食べ方として、最初に思い浮かぶのは炭火焼きではないでしょうか。川魚の中でも、カジカは特に美味しいとされています。カジカの素材を味わうには炭火焼きがおすすめです。
材料
- カジカ 釣れただけ
- 塩 適量
作り方
- 釣ってきたカジカの腹をハサミで切り、胃袋を取り出します。
- カジカの体表のぬめりを塩を使って取ります。
- キッチンペーパーでカジカの水気を取ります。
- 竹串にカジカを刺します。
- 遠火でじっくり2時間、炭火で焼きます。
カジカの炭火焼きは遠火でじっくり焼くのがポイントです。炭火に近づけ過ぎると焦げてしまうので注意が必要です。
旨味が溢れ出すカジカ酒
カジカ酒は、日本全国で珍味として親しまれています。焼いたカジカの旨味が溶け込んだカジカ酒には多くのファンがいます。
材料
- カジカ 1匹
- 日本酒 1杯
作り方
- 下処理をしたカジカを炭火で2時間程じっくり焼きます。
- コップに焼いたカジカと熱燗にした日本酒を注ぎます。
- 10分程ひたせばカジカ酒の完成です。
作り方は簡単ですが、カジカ独特の風味や凝縮された旨味を味わうことができます。調理とは少し違いますが、カジカ好きで日本酒好きな方には、是非、味わっていただきたいおすすめのレシピです。
まとめ
カジカは、全国の河川で見ることのできる身近な魚でした。現在は、環境の変化などで数を減らしており、絶滅の危険度は小さいですが「準絶滅危惧種」に指定されています。
地域や指定されている河川によっては獲ることを禁止されている場合もあります。ルールを守り、乱獲をしないなど常識の範囲内で、食べても美味しいカジカ釣りを楽しんでください。
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