京料理で知られるハモ。夏場の高級魚というイメージがありますが、実は釣りのターゲットにもなり、身近な場所で釣れることがあります。ハモを釣ることが出来れば、釣り人の特権によりハモ料理を存分に味わえます。
本記事では、ハモの生態や特徴、そして生息地などを解説します。さらに、ハモの釣り方やハモ料理などもご紹介していきます。ハモのことを知って釣りを楽しみ、ハモを美味しく味わってみてはいかがでしょうか。
ハモってどんな魚?生態や特徴
分類:ウナギ目ハモ科
鱧は細長い形をし、大きなものは1mを超え、2m弱にまで成長する、夜行性のウナギの仲間です。口を開けると、鋭い歯の並ぶ肉食魚で、攻撃性があり噛みつくこともあるため注意が必要です。また、産卵期は8月前後で、暖かい時期に活発に餌を追います。
ハモは安土桃山時代の文献に記載があり、さかのぼると縄文時代の遺跡から出土したこともあります。出土したハモは首に切れ目が入れてあり、出汁に利用したと言われています。
ハモには多くの骨が複雑に入り込んでおり、1匹に3,500本ほどの骨があります。細長い体形から、体をくねらせて泳ぐ特徴から、ハモの身は魚の中でも肉質の硬い部類に属しているようです。
「ハモ」の由来と漢字の「鱧」
ハモという名前の由来には諸説あります。獰猛な肉食性のため、食む(はむ)を由来とする説、鋭い歯が並んでいるため、歯持ちから由来する説などあり、釣り人の想像をかき立てるのではないでしょうか。
また、ハモは漢字で「鱧」と書きますが、「豊(ゆたか)」な魚、ということで、ハモには豊富な栄養があり、また、「豊」という漢字にはくねくね曲がるという意味もあります。漢字の由来を考えてみるのも、楽しいかもしれません。
ハモといえば京都?
ハモ、といえば京都のハモが有名ですが、そもそも京都にハモは存在していません。そもそも京都に海水魚を運ぶ際、多くの魚は生きながらえませんでしたが、生命力の強いハモは京都の内陸部にも生きたまま届けられていました。そのため、京都でハモ料理が発達し知られるようになったと伝えられています。
ブランドハモとしては、淡路島の「淡路鱧」、香川県小豆島の「小豆島 島鱧」などがあります。徳島の「まごころはも」に、徳島漁協はハモのPRのため、8月3日をハモの日と制定しているようです。
ハモの生息地は?日本では釣れる?
日本では東京以南に多くが生息しており、瀬戸内海や四国、九州などの温暖な海域の漁獲量が多いです。また、水深100mに満たない沿岸部に分布し、越冬のため深場に落ちることも無く、通年沿岸部に生息しています。
海外では、韓国や中国、台湾、そしてインド洋、オーストラリア北部などでも生息が確認され、遠くはアフリカ東岸にも分布しているようです。日本には、中国や韓国などのハモが食用として輸入されています。
日本では、ハモの産卵期である夏場を中心に、ハモを釣ることができます。なお、北海道や東北で「ハモ」と呼ぶ魚は、ハモと同じくウナギの仲間である「アナゴ」であり、当記事で紹介しているハモとは別の魚になります。
ハモ釣りの方法や仕掛け方法
ハモは産卵期の6月~8月、そして、越冬前の11月頃までが釣りやすい時期です。また、夜行性のため、夜釣りで狙うと釣果もアップします。釣り場は、砂底で隠れ場所となる障害物があり、潮通しの良い場所です。
ハモ釣りは、ブッコミ釣りで竿を数本出し、置き竿でアタリを待ちます。仕掛けはシンプルなもので良いのですが、ハモに違和感を与えないように工夫が必要です。また、ハモは鋭い歯を持つため、細すぎない仕掛けで釣りをします。
まず、竿は3m以下の投げ竿でよく、おもりの負荷が10号~20号位の竿が使いやすいです。また、シーバスロッドやエギングロッドでも代用できます。リールは、ナイロン糸3~4号、PE2~3号を100m位巻いておきます。
ハリスはフロロの3号を使いますが、ハモは鋭い歯を持つため、ハリス切れを防ぐため、太刀魚釣りに使うワイヤー仕掛けを代用しても良いでしょう。餌は、キビナゴやアジ子、塩サバの切り身などを使います。
針は、餌をつけやすい大きめのハリが向いており、チヌ針の5号以上を使います。釣り方のコツは、ハモが餌を口にしたとき、違和感を感じさせないことで、おもりを誘導式にし糸を張りすぎずに待つことです。なお、ハモが釣れた際は、切れない手袋を装着し、ハモ用ハサミでつかみ、すぐに〆てしまい噛みつかれることを防ぎます。
ハモの味や調理法
京料理で知られるハモですが、京都の7月の祇園祭は、「鱧(ハモ)祭り」とも呼ばれます。夏場が旬となる魚のため、暑い時期にピッタリの涼しげな料理で味わってみてはいかがでしょうか。ただし、ハモの血液には毒素が含まれるため、生食には注意が必要です。
ハモには骨が複雑に煎り込んでいるため、下処理として「骨切り」をします。プロの料理人は一寸に25本も切込を入れますが、家庭の料理では、切り幅を2~3ミリ程度にし皮まで切らないことが大切です。骨切りは魚屋さんにお願いできることがありますが、鮮度の良いハモが手に入るのは釣り人の特権のため、自ら挑戦してみてはいかがでしょうか。
ハモの湯引き(鱧の落し)
骨切りしたハモは、食べやすい数センチ幅に切り分けておきます。鍋で水を沸騰させ切り身をくぐらせ、身が白くなったら鍋から取り上げます。お湯で火を通す時間は約30秒で、火を通しすぎると旨味がお湯に出てしまい、身がかたくなるため、お湯を通す時間には注意が必要です。
鍋から取り出した切り身は、氷水につけ身を締めます。切り身の粗熱が取れるまでしっかり冷ますことが大切で、身と皮あたりの温度の高い部分が冷たくなるのを確認してからザルにあげ、しっかりと水気を切ります。
ハモの湯引きは、ゆで過ぎないことと、氷水で締める際、十分に冷まし、しっかり水気を切ることがコツです。ハモの湯引きは「ハモの落とし」とも呼ばれ、梅肉や酢味噌、好みによりワサビ醤油で美味しくいただけます。
ハモのしゃぶしゃぶ
また、ハモの湯通しに難しさを感じる場合は、ハモのしゃぶしゃぶがおすすめです。シンプル、かつ温かくハモを食せます。準備する材料は、骨切りしたハモの約2cm幅の切り身、だし汁(だしの素や白だしなどを薄めたもの)です。
野菜を入れると美味しいので好みで、白菜、椎茸、水菜を用意します。つけダレは、ポン酢、そして酢味噌、梅肉などを煮汁で薄めたものなどです。まず、鍋にだし汁と野菜を入れ沸騰させます。沸騰させた出し汁にハモの切り身を入れますが、ハモの切り身は、火を通しすぎると硬くなりパサパサした触感となるため、火の通し加減には注意が必要です。
身の色が白くなったらとりだし、つけダレでいただきます。鍋の中にはハモのダシが溶け込んでいるため、残りの具材で雑炊もおすすめです。また、うどんやそうめん、そばを入れても美味しくいただけます。
ハモの天ぷら
骨切りしたハモは、天ぷらにしてもクセがなく、ふっくらした触感で美味です。材料は骨切りしたハモを使いますが、湯引きやしゃぶしゃぶで食べきれなかった残りを天ぷらにしても良いでしょう。
付け合わせの野菜は、好みで、椎茸やオクラ、大葉、ナス、甘藷などを揚げると栄養のバランスも取れます。ハモの天ぷらを上手に作るには、まず、皮目にヌメリがあれば、きれいに取り除くことです。また、身の部分をすこしほぐしておくと、揚げあがりがふっくらします。
衣は小麦粉を水に溶かしたものを使います。天ぷらのコツは、冷たい水を使うことと、小麦粉を混ぜすぎないことです。それと、火の通る時間が同じ程度の具材を揚げていくことも大切です。具材を揚げ終えたら、油をよくきり、器に盛り付けます。冷めないうちに、天つゆや塩でいただきます。
まとめ
ここでは、ハモの生態や特徴、そして生息場所などを解説し、釣り方や料理方法などを解説しました。毎年7月に開催される京都の祇園祭りは「鱧(ハモ)祭り」とも呼ばれるほど、ハモは夏場の高級魚として知られています。
ハモは鋭い歯を持つ獰猛な魚ですが、骨切りした身はクセがなく、ふっくらとした食感で甘みもあり、食べる人を楽しませてくれます。この記事をきっかけに、ハモ釣りとハモ料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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