ブリってどんな魚?「資源量が増加中!」の魚の生態と釣り方、調理法をご紹介

みなさんはブリという魚をご存じですよね!

日本でもっとも食べられている魚のランキング調査(総務省家計調査 2018~2020年の平均)では、「サケ」、「マグロ」に続いて「ブリ」が第三位に名前を連ねるほど人気で、日本の食文化には欠かすことのできない存在です。

ところが、こんな日本人なら誰でも知っているブリでも、その生態となると意外と知らないことが多いかもしれません。2000年頃からはブリの資源量に大きな変化があらわれるなど、漁業関係者の間では話題が尽きない魚でもあります。

今回はそんな日本人が愛してやまないブリについて、生態や特徴のほか、釣り方、調理方法についてご紹介したいと思います。

目次

ブリってどんな魚?生態や特徴

出典:写真AC

分類:スズキ目アジ科

ブリはスズキ目アジ科の魚で、成魚は大きいもので体長100cm以上、体重15kgを超えます。回遊魚として知られており、体形は水の抵抗を受けにくい紡錘形をしています。体色は背中側が暗緑色、腹側は銀白色で、体側に黄色い縦縞があるのが特徴です。

産卵期は2~5月とされており、この時期になると東シナ海~西日本沿岸の暖かい海域を目指して多くのブリたちが日本各地から南下してきます。

海中に産み落とされた卵はおよそ2日間でふ化。泳ぐ力の弱い稚魚たちは海面付近を藻と一緒に漂いながら、潮(黒潮や対馬海流)に流されて北上し日本全国に散らばっていきます。その後、秋になり海水温が低下すると越冬のために南下を始めます。

以降は、春夏は餌を求めて北上、秋冬には越冬のために南下するサイクルを繰り返して大きく成長していきます。そして2~3歳になると成熟して産卵に参加。寿命は7年前後だといわれています。

ブリの旬は師走(しわす)の時期

出典:写真AC

標準和名であるブリは、漢字では「鰤」と書きます。旧暦の12月を「師走」といいますが、この師走の時期に脂がのって旬をむかえる魚だということで、この字があてられたとされています。ちなみに、旧暦の12月は新暦では12月下旬~2月上旬にあたります。

また、ブリは出世魚としてよく知られています。体が大きくなるに従い、呼び名が変わっていくというもので、関東と関西ではそれぞれ次のような名前で呼ばれています。

体長15cm前後体長30~40cm体長50~60cm体長60cm以上
関東ワカシイナダワラサブリ
関西ツバスハマチメジロブリ

海の温暖化で資源が増加

出典:写真AC

近年、サケ・マス・サンマ・スルメイカなど、日本近海でとれる魚たちの漁獲量が激減したというニュースをよく耳にします。ところが、ブリの資源量は2000年頃から増加傾向にあります(下図の農林水産省のデータ参照)。

ブリの漁獲量が増加した要因のひとつは「海の温暖化」だとされています。日本周辺の海水温が上昇したことで、ブリの子供が成長しやすい環境が広がり、資源量の増加につながったというものです。

この海水温の上昇により、今まであまり獲れなかった北海道でブリの漁獲量が急増。これとは逆にブリの産地とされてきた地域で漁獲量が減少するなど、日本周辺でのブリの分布と回遊ルートに大きな変化が起こっているようです。

ブリの生息地は?日本では釣れる?

ブリは海水温が10~25度ほどの比較的暖かい海域にすむ魚です。北西太平洋にだけ生息するとされており、日本では沖縄から北海道までの黒潮と対馬海流の影響がおよぶ地域の沿岸に広く分布しています。

国内で天然のブリは、上図の色のついた地域の沿岸で、まき網や定置網などで多く漁獲されています。2021年の調査では、1位:北海道、2位:千葉県、3位:長崎県となり、これら3県だけで全体の漁獲高の4割近くを占めました(農林水産省のデータより)。

一般のレジャーとしての釣りでは、日本各地の沿岸(堤防、サーフ、磯、船)でブリ釣りは楽しまれており、とくに太平洋側では千葉県以南、日本海側では能登半島以南の暖かい地域では、ほぼ一年を通してブリ釣りが楽しめます。

※ 上の図にあるブリ類とは、ブリ、ヒラマサ、カンパチの総称であり、ブリ単体を示すものではありません。

ブリ釣りの方法や仕掛け方法

出典:写真AC

釣りの世界では、ブリのことを大型の「青物」と呼んでいます。引きが強い特徴をもつ青物(背中が青い回遊魚の総称)の中でも、とりわけ力が強く、しかも粘り強い抵抗をみせる魚のため、釣り人のあいだではとても人気のある魚です。

ベテランの釣り師が狙う魚であって、初心者が手を出せる相手ではないと思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。仕掛けを投げて巻くといった一連の基本動作さえできれば、初心者でもわりと簡単にブリ釣りを楽しむことができます。

ここでは、そんな初心者でも楽しめるブリ釣りの方法を2つご紹介します。

ウキを使った泳がせ釣り(堤防)

出典:写真AC

初心者でも簡単にブリ釣りが楽しめるのが、生き餌(アジやサバ)を使った泳がせ釣りです。ブリが餌に食いつくと、一瞬のうちにウキが消し込むので迫力は満点。その瞬間がいつ訪れるのか待っている間もとても楽しい釣りです。

餌の活きのよさが釣果を大きく左右するため、餌用のバケツにはエアーポンプを取り付けるなど、餌の管理には十分に注意する必要があります。また、針につけた生き餌の元気がなくなったら、すぐに新しいものと取り換えることも釣果を得るためには欠かせません。

泳がせ釣り用の基本タックル(堤防用)

  • 釣り竿:4~5mのウキフカセ用のリール竿(3~4号)
  • リール:スピニングリール(3000~5000番)
  • ライン:ナイロンライン 4~6号 200m以上
  • 仕掛け:市販の青物泳がせウキ釣りセット仕掛けがおすすめ(1,000~1,500円前後)
  • エサ:生き餌(小アジ、小サバ、イワシなど。現地の堤防でサビキ釣りで調達する)

ショアジギング(堤防&サーフ)

出典:写真AC

タックルがとてもシンプルで扱いやすいことから人気なのが、岸から狙うショアジギングです。足場のいい堤防やサーフ(砂浜)から仕掛けを投げるため、初心者でもわりと簡単にブリ釣りを楽しむことができます。

ただし、重さ30~50gもあるメタルジグを遠投し続けなければならないため、体力と持久力が求められる釣りだといえます。

突如現れる、ナブラ(青物などが餌の小魚を追い回して水面で跳ねる様子)や鳥山(青物の餌である小魚を狙って、海鳥が海面近くに集まる様子)を見逃さず、すぐさまそこを目がけてメタルジグをキャストすることが釣果を得るコツです。

ショアジギング用の基本タックル(堤防&サーフ用)

  • 釣り竿:9~10ftのショアジギング用のリール竿
  • リール:スピニングリール(3000~4000番のハイギアタイプ)
  • ライン:PEライン 1.0~2.0号 200m以上
  • リーダー:フロロカーボンライン 20~40lb
  • メタルジグ:30~50g

ブリの味や調理法

出典:写真AC

ブリはとても脂の多い魚です。お刺身をしょうゆなどにつけた際に、脂がパッと広がるようすを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

このブリに含まれる脂は不飽和脂肪酸といい、DHAやEPAなどに代表されるとても質のいい脂として有名です。血液をサラサラにしてくれたり、脳細胞を活性化してくれたりといった素晴らしい効果が期待できます。

ここでは、そんな健康効果のあるブリを使った調理方法を3つご紹介します。

ブリの刺身

出典:写真AC

ブリのもつ脂のおいしさをもっともよく感じられる食べ方が、このお刺身です。

ブリの旨味成分であるイノシン酸と、しょうゆに含まれるグルタミン酸はとても相性がよく、これらを一緒に食べると旨味の相乗効果でよりいっそうおいしくブリをいただくことができます。

ブリのお刺身の作り方

  1. キッチンバサミで各ヒレを切り落とす。
  2. 金タワシでウロコとヌメリを落としたら、流水できれいにする。
  3. 包丁で腹を割いたらエラと内臓を取りのぞく。
  4. 背骨にある血合いの部分に包丁を入れたら、流水できれいにする。
  5. キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取ったら、包丁で頭とカマを落とす。
  6. 包丁で三枚におろす。
  7. 包丁で腹骨と中骨を取りのぞく(この時点で片側の身肉から2つの柵ができあがります)。
  8. 包丁で皮をひく。
  9. 柵に包丁を入れて自分好みの厚さに平切りし、お皿に盛り付けたら出来上がり。

わさび醤油で召し上がってください。

ブリしゃぶ

出典:写真AC

脂の多いブリは、しゃぶしゃぶにして食べると、とても美味しくさっぱりといただくことができます。食べる部位によって味も触感も変わってくるので、いろいろな部位を食べ比べしてみるのもいいでしょう。

ブリしゃぶの作り方

材料(3~4人分)

  • ブリ  適量
  • 煮干し  30g
  • 昆布  2枚
  • 長ネギ  1本
  • 水菜  1束
  • エノキ  1株
  • ニンジン  1/2本
  • 酒  大さじ2

上で紹介したお刺身の作り方の手順①~⑧までは一緒です。以下は皮をひいたブリの柵がある状態からの作り方です。

  1. ブリの柵に包丁を入れて3~4mmの厚さにそぎ切りし、お皿にきれいに盛り付ける。
  2. 長ネギ、水菜、エノキ、ニンジンを好みの大きさにカットする。
  3. 煮干しの頭と内臓をとる(頭や内臓は苦味や雑味の原因になります)。
  4. ボールに水4カップ、昆布、③の煮干しを入れて2時間ほど寝かせる。
  5. 鍋に④のダシを入れて強火にかける(ダシが沸騰する前に昆布は取り除く)。
  6. ダシが沸騰したら火を弱めて、5分ほど煮る(灰汁とりも忘れずに)。
  7. 煮干しを取り除き、酒を入れる。
  8. ②で用意した野菜を入れて、数分煮たら出来上がり。

ブリの切り身を鍋に入れてしゃぶしゃぶしたら、ポン酢醤油をつけてお召し上がりください。〆の雑炊もお忘れなく。

ブリ大根

出典:写真AC

体の大きなブリからは多くのアラ(頭、カマ、中骨など)を取ることができます。アラからはとてもいいダシがでるので、これを使わない手はありません。ブリ料理の代名詞といえるブリ大根でアラのうまさをぜひ味わってみてください。

ブリ大根の作り方

材料(4人分)

  • ブリのアラ  適量 ※ブリの切り身を使う場合は4切れほど
  • 大根  1/2本
  • しょうゆ  大さじ3
  • みりん  1/4カップ
  • 酒  2/3カップ
  • 砂糖  大さじ1

大根の下処理

  1. 大根を1.5~2cm幅で輪切りにしたら、皮むきと面取りをする。
  2. 鍋に大根を入れたら、かぶるくらいの水を入れて中火で10分ほど炊く。

ブリの下処理

  1. ブリのアラ全体にかるく塩をふり5分ほど寝かせる。
  2. 鍋に熱湯を用意したら、ブリのアラを5秒ほど入れて霜降りする。その後、すぐに冷水に入れてウロコや血合いを手で取り除く。

ブリ大根の調理

  1. 鍋を用意して、大根、ブリのアラを入れる。
  2. 鍋にあわせダシ(水2カップ、しょうゆ、みりん、酒、砂糖)を入れ中火にかける。
  3. 沸騰したら火を弱め、灰汁とりをしながらさらに炊く。
  4. 落し蓋をのせて30分ほど炊き、大根に串がとおるようになったらできあがり。

いちど冷ましてから、食べる前にもう一度温めなおすと味が染み込んでさらに美味しくなります。

まとめ

出典:写真AC

今回は海釣りの人気ターゲットであるブリについて、生態や特徴のほか、釣り方や調理法などについてご紹介させていただきました。

昔から近所のスーパーなどでもよく見かけるなじみの魚ですが、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。

自分が釣りあげたブリは、はたして北上中のものなのか? あるいは南下中のものなのか?

これらについて考えをめぐらしてみると、ブリに対する愛着が湧いて、よりいっそう釣りが面白くなるかもしれませんね。

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この記事を書いた人

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