渓流釣りで人気の「アマゴ」。古くから日本には生息しており、春先の解禁を楽しみにしている渓流釣りファンも数多くいます。しかし、これから渓流釣りにチャレンジする方には、アマゴって一体どんな魚?釣り方や料理方法も知りたい方もいると思います。
この記事では、そもそもアマゴとはどんな魚なのか、その歴史や希少性などを解説しています。さらに、アマゴの生態や特徴に触れ、生息地や釣りの方法、アマゴを美味しくいただく料理などについても解説しています。
アマゴってどんな魚?生態や特徴
分類:サケ目サケ科
アマゴは日本の河川上流部のいわゆる「渓流」に生息する魚です。大型のアマゴは30cm以上に成長しますが、大型になると、側面の縦縞模様が薄れる魚も存在します。見た目は、大きな口に赤い斑点のある美しい魚体であることが特徴です。
アマゴはかなり昔から日本に生息しており、遡ると数百万年以前からと考えられているようです。アマゴの起源は、地球の氷河期にアジア東部からやってきて、日本西部に住みついたとする説があります。アマゴの歴史を調べてみるのも、釣りの楽しみといえましょう。
近年では、河川敷の森林伐採やダムの建設、さらに、環境変化や河川の水質悪化により、アマゴや渓流に住む魚は減少傾向にあります。そのため、資源保護のため漁業権を設定し、稚魚の放流し増殖に務めています。
アマゴの生態や特徴
アマゴはサケの仲間のため、海と河川を行き来するイメージがありますが、アマゴは河川に生息しています。河川から海に戻るアマゴの仲間にサツキマスがいますが、淡水域に生息するアマゴとは生活環境が異なっているようです。
渓流釣りで知られる、ヤマメやイワナ、ニジマスなども河川に生息する魚と海に戻るタイプがあります。アマゴの産卵期は、10月~11月の秋季であり、この期間はアマゴの資源保護のため、漁業権の設定された河川では禁漁期間です。
アマゴの雑学(漢字で「雨後」「甘子」と書く訳)
アマゴは、漢字で「雨後」「甘子」とも書きます。「雨後」と書くのは、梅雨時期の雨上がり後にアマゴがよく釣れるからとする説があります。また、「甘い」の漢字には、文字通り甘いという意味と、そもそもの語源である、うまいからという説があります。
アマゴとよく似た魚にヤマメがいますが、アマゴにトレードマークの赤い斑点があるのに対し、ヤマメには赤い斑点がありません。また、アマゴの住む河川にヤマメを放流すると、ヤマメはいなくなりアマゴが生き残るという説もあるようです。
アマゴの生息地は?日本では釣れる?
アマゴは西日本に生息していますが、西日本の中でも、特に太平洋側、つまり四国や九州などの限られた地域に生息しています。先に説明した通り、淡水の上流域に生息しているため、渓流釣りの対象とされています。
生息する条件として、河川の水温が20度以下であることが必要で、日中は河川の流れ込みや淵などで、上流から流れてくる餌を待ち受けています。アマゴは昼行性の魚で、夜間は深場で休んでいるのが特徴です。
日本の河川で釣ることも可能ですが、漁業権の関係により、春先〜秋までが釣りの出来る期間となります。そのため、アマゴを釣る際は、釣行をする河川の漁業権をよく調べ、漁業権が設定してある場合は「遊漁券」を購入しなければなりません。
アマゴ釣りの方法や仕掛け方法
アマゴ釣りは渓流での釣りになります。渓流の釣りでは、どの魚種でも共通の釣り方があり、まず、静かに人気を感じさせないように心がけるとよいでしょう。次に、下流部から上流部にかけて、釣りをします。ポイントになるのは、流れ込みや淵、流れの変化している場所、時期によって流心などです。
アマゴを釣るには、餌釣りから入ることも多いでしょう。餌釣りでは、5m以上の長めの竿を使い、道糸0.4号にハリス0.4号以下を繋ぎ、目印をつけ脈釣りをします。餌は現地で川虫を調達するほか、イクラやミミズ、市販の専用餌などを使います。
テンカラ釣りとは、毛バリと、のべ竿を使った日本の伝統的な釣り方をいいます。竿や4m以下の短竿を使い、レベルラインというテンカラ用の道糸にハリス0.6号を60cm、それに毛バリを結び、水面に毛バリを流しながら釣ります。
ルアー釣りでは、5ftの竿に0.6号の道糸を巻いた2000番のリールをセットします。ルアーは小型のミノーやスプーン、スピナーなどを使い、川の流れの強さや、その日の魚の活性に合わせて釣れるルアーを試してみると良いでしょう。
フライフィッシングでは、7ft前後の竿にフライライン#4、テーパーライン、ティペットを繋ぎます。フライはドライフライを使うと、アタックするアマゴを目視で確認できるため面白みも倍増します。ただし、フライフィッシングではキャスティングの練習や、タックル選びなどで釣りのハードルは高めとなります。
アマゴの味や調理法
淡水魚の中でも、特に美味しい魚として知られています。解禁当初は多少味が落ちるももの、梅雨以降は身に独特の脂がのり、最高の食味期になります。川魚のうちでも、骨が柔らかいのが特徴で、小型のアマゴは骨まで美味しくいただけます。
釣ったアマゴは、鮮度を保つために、冷たく冷やした状態で持ち帰るのがコツです。できれば、釣った現地で内臓をきれいに取り除きます。たくさん釣れた場合は、現地で素焼きにし持ち帰り、自宅で1日前後干すと、食材として保存できます。
現地でのアマゴの塩焼き・素焼き
渓流釣りでの料理の楽しみは、釣った現地で調理し、自然を楽しみながら美味しくいただくことです。持ち帰らず、現地でアマゴを食する場合は、まず、口に割りばし2本を入れ、筒抜きという方法で内臓を取り除きます。
血やヌメリを川で洗い流し、アマゴの口から中骨に沿って、串を棒刺しにします。軽く塩をふり、火をおこし、火炎が納まってから遠火でじっくりと焼きます。串を立てて焼く際、火のとおりの目安は、串に魚の汁気が落ちてこなくなった状態です。
現地での塩焼きは、アウトドア料理ともいえ、川で見つけた棒を串として代用したり、現地で見つけたフキの葉などで包み砂焼きにしたり、など日常とは異なる料理を楽しむことが出来ます。現地でのアマゴ料理は渓流釣人の特権です。
アマゴの塩焼き
アマゴを水洗いしヌメリを手で落とし、ウロコと腹ワタを取り出し水気をよく切ります。きれいに焼くコツは、アマゴを焼く前に、グリルや魚焼き機を事前に少し温めておくことです。おどり串を打つと見た目の良い焼き魚が出来上がります。
おどり串を打つ際は、アマゴの裏側の目の下から串を打ち、魚の表側には、串の目を出さないように注意します。中骨をぬうように串を通すと、上手に串を刺せます。胸びれ、背びれ、尾びれに、化粧塩をし、全体にも軽く塩をふりましょう。
魚の表側から焦げ目のつくまでよく焼き、串を回してから裏側をよく火が通るまで焼きます。生焼けで魚をひっくり返すと身崩れするので、ある程度焼き目が固くなってから、魚を裏返します。魚が焼けたら、おどり串を抜き、頭を左側にし器に盛りつけます。
アマゴのムニエル
下処理をしたアマゴに小麦粉をまぶし、余分な粉は、はたき落としておきます。予め熱したフライパンにバターを入れて、魚を入れじっくり焼きます。火が強すぎると、魚に火が通る前にバターが焦げてしまうので、火加減には注意が必要です。
ムニエルは、フライパンをゆすりながら回し、魚全体にバターをなじませながら焼くのがコツです。表目は焦げ目がつく程度に焼き、裏側は弱火で十分に火を通すのがコツです。魚が焼けたら、フライパンから取り出し、器に盛りつけます。
次に、フライパンの焼き汁に塩コショウで味を調整し、煮詰めてソースを作ります。白ワインを入れてアルコールを飛ばすと風味が増します。また、しょうゆを少し加えて色付けしても良いでしょう。半分ほど煮詰めたら、器にもった魚にソースをかけます。
まとめ
この記事では、渓流釣りの人気ターゲットであるアマゴの生態や特徴、釣り方や料理方法なども解説しました。アマゴはヤマメと似ていますが、体側に赤い斑点のあるのが特徴の魚で、主に西日本を中心に生活しています。
アマゴ釣りでは、漁業権の設定してある河川で釣りをすることになるため、釣りをする前に、漁業権が設定されてあるか確認が必要です。禁漁期間もあるため、それらに注意しながら遊漁券を購入しましょう。
この記事をきっかけに、日本の渓流で自然に包まれながら、アマゴ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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