磯釣りや防波堤釣りでの外道として知られるアイゴ。グレ釣りやチヌ釣りの際に一緒に釣れて、リリースすることも多いですよね。また、アイゴは毒を持つことで有名で、あまり好まれる魚ではありません。しかし、実はアイゴも下処理をしっかり行えば美味しく食べることができるのです。
今回は、アイゴの生態について解説していきます。また、毒の危険性や釣り方、おすすめの料理法もご紹介します。アイゴを安全に取り扱いながら美味しく味わう方法を知ることで、新たな釣りの楽しみ方が広がることでしょう。
アイゴってどんな魚?生態や特徴
分類:スズキ目アイゴ科
アイゴは体長が25〜30cmほどに成長し、茶褐色の平たい体と、体表にある横縞や白い斑点が特徴です。背びれや尻びれ、胸びれには鋭いトゲを持ち、毒魚に分類されます。
名前の由来は、アイヌ語でイラクサを表す「アイ」と、魚を表す「ゴ」に由来しています。アイゴは地方によってさまざまな名前で呼ばれており、これらの名前はアイゴの特徴に関連しています。
特徴的な呼び名として、アイゴが持つアンモニア臭のような独特な臭みに由来して、西日本では「バリ(尿)」とも呼ばれています。福岡県の「イバリ」、和歌山県の「アイノバリ」、九州地方の「ションベンウオ」などは、このバリにちなんだ地方名です。
アイゴの旬は、産卵期後の秋〜冬にかけてです。この時期は、脂のりが良く身が引き締まっていて美味しくいただけます。
絶対に素手で触っちゃダメ!
アイゴは背びれや尻びれ、胸びれに鋭いトゲを持っており、その部分には毒があります。もしアイゴに刺されてしまうと、激痛が走り、しびれや麻痺を引き起こすこともあります。
この痛みは数日から数週間も続くことがありますので、釣り上げた時やさばく際には特にトゲには十分注意しましょう。
アイゴの毒はタンパク質の一種で、熱に弱い性質を持っています。もし刺されてしまった場合は、応急処置としてやけどしない程度のお湯に患部を浸してみると、毒素が分解されて痛みが和らぐことがあります。
ただし、この方法は一時的な対処療法に過ぎないため、できるだけ早く医師の診察を受けることをおすすめします。
海の厄介者
アイゴは動物性のプランクトンを捕食しながら成長し、流れ藻などに付着して移動します。成長したアイゴは、甲殻類などの動物性エサだけでなく、植物性のエサも好む傾向があります。
特に沿岸の浅い場所に移動した成魚のアイゴは、岩礁やサンゴ礁などに生える海藻を食べ尽くしてしまうことがあります。
このようなアイゴの捕食行動が、最近問題となっている「磯焼け」と呼ばれる現象の一因とされています。磯焼けは、海藻が消失してしまう現象です。海藻が消失してしまうと魚もいなくなってしまうため、漁師たちからは敬遠されているようです。
アイゴの生息地は?日本では釣れる?
アイゴは青森県から九州南岸の日本海や太平洋、南シナ海、さらに伊豆・小笠原諸島の沿岸や浅い岩礁地、藻場など、さまざまな場所に生息しています。特に琉球列島では、汽水域の河川でもアイゴが観察されることもあります。ただし、地域によって釣れるアイゴの種類は異なります。
さらに、海外でもアイゴは広く分布しており、済州島や台湾、フィリピン、南シナ海、インドネシア、ニューギニア島、ソロモン諸島、ミクロネシアなどでも見られます。
アイゴは比較的暖かい水域を好む傾向があり、関東以南の磯や防波堤、岩底などでよく見られます。また、汽水域でも生息するため、船に乗らずとも防波堤や磯場から釣ることができるのも特徴です。
アイゴ釣りの方法や仕掛け方法
アイゴ釣りには、2つの方法があります。
1つ目は立ちウキ仕掛けです。この方法では、コマセを投入し、立ちウキでアタリを待ちます。穏やかな水面の防波堤などでアイゴを狙うのに適しています。
立ちウキ仕掛けには、1号~1.5号の磯竿が使われます。長さは4.2m~5.3m程度がおすすめです。リールには小型のスピニングリールを使用しましょう。道糸は2~3号で100m~150m程度のものを用意します。
ウキは3B~4B程度のスリムで細長い自立ウキが適しています。ハリスには1.5号~2号のフロロカーボンを使用しましょう。
2つ目は円錐ウキ仕掛けです。この方法は手返しが良く、足場が悪い磯場や風の強い場所で効果的です。
円錐ウキ仕掛けには、1.5号~2号の磯竿が使用されます。長さは4.3m~5.3m程度です。リールには2号~4号程度の太めの道糸を巻きます。ウキには3B程度の円錐ウキを選びましょう。ハリスには2号~3号のフロロカーボンを使うと根ズレを防げます。
どちらの仕掛けでも、コマセの切れる時間を考慮して用意することが重要です。アイゴのコマセは、メジナやクロダイ用の配合餌にオキアミを混ぜて作ります。刺し餌にはオキアミが一般的ですが、アイゴは雑食性なので酒粕やサナギ、食パンの耳、みそ団子などでも釣れます。
アイゴは餌取りが上手いため、ハリスにガン玉を連打して針を垂直に保ち、微妙なアタリを逃さないようにしましょう。
アイゴの味や調理法
アイゴの味は一般的に磯臭く美味しくないと言われています。特に内臓は個体によっては強烈な臭いで身が臭くなり食べられないこともあります。しかし、きちんと下処理をすれば美味しくいただける魚です。また、アイゴのヒレには毒針があるので調理の際は、十分に気を付けましょう。
アイゴの磯臭さの原因は内臓にあります。そこで、釣った後にすぐに内臓とエラを取ることで匂いが身に移るのを防ぎましょう。この処理があるかないかでアイゴの味は大きく変わります。旬のアイゴは脂がのっており大変美味しいのですよ!ここではアイゴのおすすめの調理法を3つご紹介します。
アイゴのお刺身
アイゴの刺身なんて、磯臭くて食えないのではと思う人が多いと思いますが、釣った際にすぐに内臓を取るなどきちんと下処理をしたアイゴの刺身はなかなか淡泊で上品な味がします。実際に食べてみると、磯臭さなんて全くないので、一度だまされたと思って食べていただきたい品です。大型のアイゴだと臭いが強い場合があるので、30cmまでのアイゴがお刺身におすすめです。
調理法は、まず、頭から尾に向けて丁寧にウロコを取ります。次に、腹ビレの下側から包丁で切り込みを入れ、胸ビレの下にも同様に切り込みを入れて、頭を切り落とします。最後に、中骨に付着している血合いを歯ブラシで丁寧に取り除きます。皮をひいて食べやすいサイズに切ったら完成です。
アイゴの煮付け
アイゴは加熱すると身がしっかりしており身離れも良く、カワハギの煮付けに似ています。徳島では「アイゴの皿ねぶり」というほど好まれています。この皿ねぶりとは、あんまり美味しいのでつい皿までなめてしまうと言う意味だそうです。
(A)酒 150ml
(A)しょうゆ 大さじ3
(A)砂糖 大さじ2
(A)みりん 大さじ2
アイゴは尾から頭にむかって包丁でこすり、うろこをとる。腹に切り込みを入れ、内臓とエラを取り出し、しっかり水洗いをする。臭いの原因にもなるので、腹の中もしっかりぬめりをとりましょう。キッチンペーパーで、外側、腹の中の水気を拭き取る。フライパンに(A)と水150mlを入れて中火にかけ、煮たったらアイゴをいれる。落とし蓋をして沸いている状態で7〜8分煮る。落とし蓋を取り、スプーンで煮汁をにかけながら3分ほど煮て、器に盛って完成です。
アイゴのから揚げ
簡単にできるおすすめの調理法はアイゴのから揚げです。 レモンをたっぷり搾って食べるとビールのつまみには最高です。また、揚げることでアイゴ独特の臭いを感じることは無く味を楽しめます。
アイゴの内臓とエラを取り、しっかり水で流しましょう。次にアイゴを一口大に切り、市販のから揚げ粉をまぶし全体になじませます。160℃の油で揚げて完成です。お好みでレモンを絞るとさっぱり食べられます。
アイゴは淡白なので濃い目の味付けにすると美味しいです。ドライハーブやガーリックを利かせたり、醤油と酒と生姜で竜田揚げにするのもおすすめです!から揚げであれば小さなサイズが釣れたとしても捌きやすく、魚を捌くのが苦手という方でも簡単に作れるおすすめ調理法です。
まとめ
本記事では、アイゴの生態や釣り方、調理法について解説しました。アイゴは茶褐色の魚体が特徴の魚です。背びれ尻びれ、胸びれに鋭いトゲがあり毒を持つ魚です。日本の青森県から九州南岸の沿岸で釣ることができる魚で、主に磯場や汽水域に生息している魚です。
釣り方はエサ釣がおすすめです。コマセを使う釣りなのでエサがコマセに同調するようにするのが釣果を伸ばすコツです。
おすすめの調理法は刺身や煮付け、唐揚げです。アイゴの旬は秋から冬で、この時期のアイゴは脂がのっており旨みたっぷりです。調理の際はトゲの毒に気を付けてください。
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